■ロトのアイテム(二)
ロトのアイテム(一)に戻る■ロトの印(二)
思い返せば、聖なる祠のじいさんたちは聖なる守り(ロトの印)以外のロトアイテムをまるで信じようとしなかった。勇者がロトの剣やロトの鎧を持ってこようと一切の興味を示さず、愚か者呼ばわりまでしてきたのだ。たとえじいさんたちがハゲ頭を隠すため石のかつらを装備しているのだとしても、あの頑固さは異常。彼らにとってロトの武具とロトの印の間には明確な違いがあり、等価なものでなかったと言える。
じいさんたちの頑なな態度は、ロトの武具たちがロトの家に代々伝わってきたものでないことを示唆しており、できた当初はロトの紋章など刻まれていなかったことを裏付けているようだ。ロト家由来の品は、ロトの印ただ一つ。じいさんはそれを知っていたのである。ダテに頑固じじいをやってるわけじゃない。
それじゃあ3のエンディング後あれらの武具がロト仕様になった経緯は何なのかという話になるが、それは分からない。どこぞの鍛冶屋が、全部この紋章に統一したほうがカッコよくね? みたいな感じで細工したのかもしれないが、もちろん根拠はない。
それでは、ロトの武具についてそれぞれ見ていこうと思う。
■王者の剣/ロトの剣
王者の剣には一代目と二代目がある。一代目は大魔王ゾーマが三年の歳月をかけて粉々に破壊したらしい。二代目はドムドーラの牧場に意味不明に転がっていたオリハルコンをマイラの道具屋が加工したものだ。
さて、王者の剣はロトの剣として後の世に伝えられたのだが、この装備に最も特徴的なのはその劣化具合だろう。1の時はまだ分からないが、2では明らかに弱くなっている。3のときには格下だった稲妻の剣に最強の座を奪われているからだ。
この理由として考えられるのは、マイラの道具屋である。あのオヤジが王者の剣の製造に費やした時間を覚えているだろうか。そう、ほんの十数秒だ。三年の歳月をかけて破壊されたものが十数秒。三年が十数秒。三年。十数秒。
本当にあのオリハルコンを加工して作ったのかも疑わしいレベルである。できたばかりの頃はめちゃくちゃ強かったけれど、ツケが500年後に回ってきたということか。もし一代目が残っていたなら、きっと2の時代でも強力だったことだろう。
■光の鎧/ロトの鎧
ゾーマ、竜王、ハーゴン、シドー。歴代の勇者と共に数々の死闘を繰り広げた光の鎧(ロトの鎧)は、ロトの武具の中で最も活躍した装備だ。3の時代そうであったように、1や2でも最強の鎧の座に君臨している。
もう一つ特徴的なのは、やたらと波乱万丈な経歴を持つこと。ラダトームの城から大魔王によって強奪されたのを皮切りに、ルビスの塔に安置されていたところを3の勇者に持っていかれ、再びラダトームに戻ってきたかと思ったらまた何者かによる盗難に会い、今度は人から人へとたらい回し。
気がつくと“ゆきのふ”という人物の元へやってきており、ようやく落ち着けるかなと思った矢先に地面に埋められ、1の勇者に掘り起こされると今度は新たな大陸へ連れて行かれ、またまた盗難にあってロンダルキアへの洞窟に。その後2の三人組によって発見され、いったい今はどうなっているんだろう。
ロトの鎧の持ち主は、取りあえずセ○ムにでも入ることをオススメしたい。
■勇者の盾/ロトの盾
王者の剣のパートナー、勇者の盾(ロトの盾)。こいつに関して不思議なのは、1の時代に行方が分からなくなっている点だろう。3のエンディング後からサマルトリアの城に安置されるまで、いったい何をしていたのか。
一つ気になるのは、3のエピローグで全く触れられていないことだ。“彼が残していった武器・防具は、ロトの剣・ロトの鎧として〜”。盾のたの字もない。このことから考えられるのは、3の勇者が盾をラダトームに置いていかなかった可能性だ。エンディング後どこかに姿をくらました勇者だが、何故か盾だけは一緒に持っていったのではないか。
そして、それこそが1の時代にロトの盾が見つからなかった理由だと考えられないだろうか。たとえば3のエンディング後に勇者がアレフガルド周辺の大陸へ渡ったのだとすれば、冒険の範囲がアレフガルド内に限られる1で見つからないのは当然の話。3の勇者の消息に関しては以前に同じことを書いた気がするけど、改めて思う。その場合、勇者の盾にあしらわれたロトの紋章は、剣や鎧とは別時期に細工されたものになるだろう。
■???/ロトの兜
さて。何かと謎の多いロトの武具だが、中でも一番謎に包まれているのがロトの兜だ。ここまで一切触れてこなかったのもそのためだ。ロトの兜がやっかいなのは、その前身だろう兜が3に見当たらないからである。
例えばFC版3最強の兜である鉄仮面は、ロトの兜と見た目が全然違う。光の鎧とロトの鎧(あるいは勇者の盾とロトの盾)の相違以上に似ても似つかない姿だ。リメイク版で登場したオルテガの兜も、勇者専用装備であることや能力等は申し分ないものの、やはりロトの兜に似ているとは言い難い。類似点は、赤っぽい宝石と角があることくらいだろう。色や形状が最もロトの兜に近いのは鉄兜だが、こちらは存在感や性能に欠けると言わざるを得ない。
要するにコレと言える装備品がないのだ。強いて言うならオルテガの兜だと思うけど、もしそうならロトの兜にもっとデザインを近づけたはずだろう。しかし実際は違う。いっそのことロトの兜は3よりずっとあとの時代に作られたと考えるのが無難とも思える。が、その場合避けて通れないのがFC版2公式ガイドブックに書かれた次の文章だ。
伝説の勇者ロトが使ったという最強の兜。ロトの血を引く者だけが身につけられる。
公式ガイドブックは正しいという前提で書いているのだから、これを無視するのは虫が良すぎる。どうにか説明するべきだし、できないなら諦めるほかない。正直な話、この文章を書き始めた当初はお茶を濁して保留する気満々だった。しかし、SFC版1・2の公式ガイドブックを確認してないことに気づいて、まぁ何もないだろうけどと思いながら見てみると、
勇者ロトと魔王の時代以降、所在がつかめず、その存在は架空の物とされていた伝説の防具。ケタはずれの守備力を誇る、最強の兜だ。
なんと、答えが記されているではないか。“勇者ロトと魔王の時代”とは3の時代のことだろう。そして、普通三日以降と言えば三日も含める(はずだ)から、3の時代以降とは3の時代も含まれる。すなわち、ロトの兜は3の時代から既に所在が不明になっていたということだ。やはり3の装備品の中にロトの兜はなかったのである。
そしてその場合、問題のFC版2公式ガイドブックの文章にある“伝説の勇者ロト”に関しては、3の勇者でなくロトの始祖のことと考えれば一応の説明はつくと思う。ここにもその存在を示す手がかりがあったわけだ。
おそらく、ロトの兜はゾーマによって奪われた時からずっと行方不明だったのだろう。また、2で初めて登場したのだから他の武具のように細工されたのかどうかは分からない。もとからあの姿だった可能性は十分あるだろうし、その場合ロトの兜もロトの印と同じくロトの家に代々伝わる品だと言える。ロトの印にしか興味を示さないあのじいさんが兜を隠し持っていたのは、あるいはそれが理由とか。ロトマニアにも程がある。
■おわりに
さて、最後にこれだけは言っておこう。公式ガイドブックさん、疑ってすみませんでした。