■テドン
このページでは、ドラクエ3に登場する【テドン】の村について、書かせてもらおうと思う。
■テドンとルーラ
瞬間移動呪文【ルーラ】。3のそれには他作品に見られない特殊な効果がある。“任意の場所に飛ぶと時間が昼になる”というあれだ。その効果について、FC版公式ガイドブックでは次のように書かれている。
ドラクエ3ではルーラを使った後は朝になるという特徴があり、
これで時間をコントロールすることもできる。
ドラクエで時間の概念が初登場したのが3であるため、昼夜を逆転させる方法の一つとして説明されているのだ。このルーラの効果だが、以前まで僕はただの仕様だと思っていた。しかし、いつだったか3をやっていて、これはある理由のために、あえてそうしているのでは、と思うようになった。その理由とは、テドンにある。
テドンの村が昼と夜で全く異なる顔を見せることは、3をクリアしたことのある方ならご存知だろう。夜に訪れると、少しあちこちぶっ壊れているなという以外は普通の村なのだが、昼になると人っ子一人いなくなるミステリースポットなのだ。では、くだんのルーラの効果とテドンにどういう関係があるのか。それは実際にテドンに向かってみれば見えてくると思う。
■テドンと船
テドンに初めて向かうには【船】が必要なのだが、船は黒胡椒と引き換えにポルトガの王さまから貰えるので、まずバハラタで黒胡椒を入手することになる。黒胡椒を手に入れたなら、おそらく多くの人がルーラを使ってポルトガまで飛び、船を貰うのではないか(この時点で、時間は昼になっている)。
しかし、船を手に入れたものの何処に行けばいいのか分からない。そこで、取り敢えずポルトガのすぐ南に見えるほこら(灯台)に立寄るだろう。その灯台にはあらくれがいて、次のような情報をくれる。
*「ここから みなみ りくにそって
ふねをこげば やがて テドンの
みさきを まわるだろう。
*「そして ずっと りくぞいを
いくと バハラタ。
*「さらにいけば
おうごんのくに ジパング
*「せかいのどっかにある 6つの
オーブをあつめたものは ふねが
いらなくなるって はなしだ。
*「とにかく みなみだ!
これを聞いた人は、よっぽどのひねくれ者でない限り、とにかく陸に沿って南に向かうと思う。すると左手のほうに川が現れるので、そこを遡っていくか、あるいは付近に上陸して少し歩くと、テドンの村が見つかる。そのときの時間帯が、ちょうど夜なのだ。
夜のテドンに辿り着いたプレイヤーは、村を色々と見て回った後で、
*「ダメージも食らってるし
長旅に なりそうだから
宿屋に泊まっておくかな。
といった感じで何の気なしに宿泊するかもしれない。しかし、夜が明けてみれば無人の宿屋に無人の村。
*「ぎゃぁぁぁあああああ!
と、上手くいけばこうなるわけだ。つまり、ルーラで時間が昼になるのも、ポルトガからテドンに向かうとちょうど夜になるのも、この演出のために意図されたものなのではないだろうか。この点はリメイク版でも全く同じなので、どうもそんな気がする。
ただ、あくまで上手くいけばの話で、成功するか否かはプレイヤーの行動に大きく左右される。実際の成功率がどれくらいなのかも分からない。この辺りは、これ見よがしな演出をしないドラクエらしさが出ている。
■テドンとBGM
リメイク版3では、テドンに泊まり目が覚めると、BGMが全滅時のおどろおどろしいものに変わる。それが一層恐怖を引き立てるわけだが、FC版ではそのような演出がない。
オープニングを削らなければならないくらい容量制限に悩まされたらしいFC版だから、新しいBGMを入れる余裕などなかったことは分かる。しかし、それならばあえて無音にするという演出はできなかったのだろうか。ちょうど、FC版4第二章の最後のように。あの演出は、無音というのものが怖い曲が流れるより怖い場合があることを教えてくれる。
もしかして、BGMを流さないことで余計に容量を食ってしまうことがあるのだろうか。 いや、よく考えたら、恐ろしい状況下であるにも拘らず、普段どおりの明るいBGMが鳴っているというのも、それはそれで不気味である。こっちの怖さを狙ったのかもしれない。
■おわりに
容量の少ない中で色々と楽しませてくれる昔のゲームには、今のゲームにはない良さがありますな(我ながら爺くさいな……)。
★追記(10/11/20)
よく思い返してみると、FC版にも全滅の曲がありましたね。嘘ばっか書いてすみません。