■ガライの足跡をたどれ!
【ガライ】はドラゴンクエスト1および3に登場する人物です。このページでは、ゲーム中で聞ける話や公式ガイドブックの内容から、ガライの人物像に迫ってみることにします。
■ガライの生まれ
ガライが生きたのは3の時代で、剣士風の男とその妻の間に誕生しました。生家は、のちにガライの町が造られる半島にある(祠のような)一軒家です。
■ガライの両親
ガライの家を訪ねても彼の姿はありませんが、両親に会うことはできます。二人は勇者たちに次のようなことを聞かせてくれます。
※以下に登場する台詞は全てSFC版のものです。
*「息子のガライには
こまって いますのよ。
*「うたを うたいながら
旅をすると 家を出たまま
もどって きませんの。
*「銀のたてごとなら
息子のガライが 持っていたと
思うが……。
ガライは歌好きで放浪癖があり、【ぎんのたてごと】(以下、銀の竪琴)を持って旅に出ていったことが分かります。勇者一行がどういう経緯から竪琴について尋ねたのか全く分かりませんが、取り敢えず無視しておきましょう。
■ガライの職業
ガライ本人とは城塞都市メルキドで会うことができます。旅の宿に泊まっている男性がそうで、話しかけると次のように答えてくれます。
*「うん? ぼく?
ぼくは ガライ。
旅の ぎんゆう詩人さ。
ガライ「楽器かい? ぼくは
たてごと専門なんだけどね
家に おいてきちゃったよ。
ガライ「あの 銀のたてごとの音色は
ちょっと キケンなんだ。
竪琴にこだわる勇者一行を怪しみもせず、ガライは旅の吟遊詩人だと名乗ります。彼の両親はそんなことを言っていなかったので、もしかしたら自称なのかもしれません。
■ガライと銀の竪琴
公式ガイドブックでは、銀の竪琴はガライの愛用した楽器と紹介されています。ガライが危険だと語るのは、その美しい音色が魔物たちを呼び寄せてしまうからです。魔物に支配された時代に、そんな楽器を持ち歩く気にはならなかったことでしょう。
それでは銀の竪琴は何処にあるのかというと、ガライの家の地下に転がっているのです。FC版では宝箱に入っていますが、SFC版では宝箱の傍に打ち捨てられています。もちろん(?)黙って持っていくことができますが、竪琴を持った状態でガライに話しかけても会話内容に変化はありません。
■ガライと母親
世界に平和を取り戻した後に、ガライの両親から聞ける話を見てもらいましょう。
*「ガライが 息子のガライが
帰ってくるというのです!
よろこんで くださいまし!
*「あの ほうとう息子のガライも
世界が 平和になったので
将来のことを 考えはじめたようだ。
*「それも これも
あなたたちの おかげです。
ありがとうございました。
手紙か何かで知らせたのでしょうか。そう言えば僕の知人が、
*「3のエンディングで もう息子に
会えなくなってしまった 勇者の母親のことを
考えたら 悲しくなる。
と話していたことがあります。子供がもう帰らないことを知らない勇者の母親と、息子がまもなく帰ってくると喜ぶガライの母親。この対比は、何とも興味深く思えます。
■ガライと勇者
家に帰ることを決めたガライですが、エンディング時にはまだメルキドに留まっています。
*「やあ ぼくです ガライです。
ガライ「いつまでも ぶらぶら
できないし 家に帰ることに
しました。
ガライ「そして あなたたちのことを
歌にするつもりです。
きっと いい歌になりますよ!
勇者一行のことを歌にすると話すガライ。1で聞けるロトの伝説は、あるいはガライがまとめ伝えた物なのかもしれません。
■ガライと少年
ガライに関して注目してもらいたい人物が、3にはもう一人います。1でだいこんを売っている店や道具屋がある場所の二階に住んでいる少年です。エンディング時の、彼の寝言を聞いてください。
*「すやすや……。
ねえ ガライにいちゃん
もっと お話を聞かせてよ…。
どうやらガライは、この少年に色々な話を聞かせてやっていたようです。
世界に平和が戻る前、少年の母親はこんな時代に生まれた息子を不憫に思って嘆き、父親は投げやりになっていました。他の人々も絶望と無気力に陥っており、町自体が暗い雰囲気に包まれていたのです。
ところが、この少年は勇者一行に魔王の討伐をお願いしようとしたり、何かしら希望を捨てていない様子でした。もしかしたら、ガライの語る話が少年を勇気づけていたのではないでしょうか。
■そしてガライも伝説へ…
公式ガイドブックによると、一旦は家に戻ったガライは、世界各国の出来事や風土を歌にし語り継ぐため、再び旅に出たようです。ロトに纏わる伝説はガライが伝えたものだとすると、その旅の過程で勇者一行の記録を集めたのかもしれません。扱いが雑だった銀の竪琴も、魔物のいない世界で存分に奏でられたことでしょう。勇者は銀の竪琴を初めから持っていかなかったか、持っていったとしても後で返したと信じます。
旅を終えた晩年のガライは、後に昔語りの町と呼ばれるガライの町を造り、その一生を終えました。
3からおよそ400年後、再び平和が奪われた1の世界。ガライは偉大なる吟遊詩人として伝説になっています。
*「はるか昔 ぎんゆう詩人ガライは
長い旅の終わりに この地に
たどりつき そして
この町を つくったそうじゃ。
*「だから ここは ガライの町と
呼ばれているのじゃよ。
ガライの町に住む老人の話です。
町はガライの実家があった場所に造られているので、辿り着くという表現は少し妙な気もします。しかし、長い放浪の果てに辿り着いたのは、結局自らの生まれた土地だったのだ、と解釈することはできるかもしれません。
ガライは町の地下に作られた巨大墓地に葬られましたが、一緒に入れられた銀の竪琴のせいで魔物の巣窟と化しています。そのせいなのかどうなのか、竜王を倒した後に滅びの町ドムドーラでガライ(の幽霊?)に会うことができます。墓の魔物が鬱陶しかったのと、生前からの放浪癖で死してなお旅に出たのでしょうか。
幽霊ガライは次のようなことを話してくれます。
*「おや? あなたには
私の姿が 見えるようですね。
*「私の名は ガライ。
かつて この地を旅していた
ぎんゆう詩人です。
*「かつて ここドムドーラも
それはそれは
にぎやかな町でした。
*「ほら こうして目をとじると
あの頃の情景が
うかびあがってきました。
かつて自分が訪れたときの町の様子を再現してくれるガライ。ゲーム上ではBGMが変化するだけですが、目を瞑ればその情景も蘇ったことでしょう。
■おわりに
ガライを伝説の吟遊詩人にした要因を考えると、まずロトの伝説を歌にし語り継いだことが挙げられるでしょう。
しかし、それはたぶん要因の一つでしかありません。皆が絶望する中で少年を勇気づけたことや、彼のもとに人が集まり町ができたことを見ると、ガライの人柄というか魅力というか、そんなものが伝わってくる気がするからです。
他にも過去の記憶を蘇らせることができる力などは8のイシュマウリに近いものがあり、只者ではないことが窺えます。伝説の吟遊詩人というのはダテではありません。
以下にガライの足跡を年表のような形でまとめてみました。想像も含まれます。
時期 | 場所 | 出来事 |
? | 北西の半島 |
・誕生 ・歌と楽器(竪琴)の腕を磨く? |
? | ? | ・歌を歌いながら放浪の旅に出るようになり、両親を困らせる |
? | ? | ・これ以前の何処かのタイミングで銀の竪琴を手に入れる |
? | ? | ・また放浪の旅に出るが、銀の竪琴は置いてくる |
3 | メルキドの町 |
・町の少年と出会い、何かを話して聞かせる ・勇者一行と出会い、銀の竪琴のことを話す |
3(Ending) | メルキドの町 |
・家へ戻ることにし、両親にその旨を伝える ・勇者一行のことを歌にすると決める |
? | 各地 |
・(銀の竪琴を持って?)放浪の旅に出る ・世界各国の風土や出来事を歌にし語り継ぐ ・ロトの伝説を纏め上げ語り継ぐ? |
? | 北西の半島 | ・ガライの町を造る |
? | ガライの町 |
・死去 ・ガライの墓に銀の竪琴と共に葬られる |
? | ガライの墓 | ・放浪の旅に出る |
1 | ガライの墓 | ・銀の竪琴を勇者に持っていかれる |
1 | 雨のほこら | ・銀の竪琴が賢者の末裔の手に渡り、その後の行方は不明 |
1(Ending) | ドムドーラの町 | ・勇者と出会い、在りし日の町の姿に思いを寄せる |
そう言えば、再び旅に出たガライは、何度か実家に戻ったりしたのでしょうか。それとも、ずっと旅に出たままだったのでしょうか。