■ロトのアイテム(一)
ロトに纏わるアイテムあれやこれや。
■根本的な話
そもそもロトの武具とは何か。
かれが のこしていった
ぶき ぼうぐは ロトのつるぎ
ロトのよろい として
せいなるまもりは ロトのしるしとして
のちのよに つたえられたという。
これは3のエピローグの一部だ。彼(3の主人公である勇者)が残していった“ぶき”と“ぼうぐ”とは、素直に考えれば【王者の剣】と【光の鎧】。つまり、王者の剣が後の【ロトの剣】であり、光の鎧が後の【ロトの鎧】であるということだろう。そこで問題となってくるのは、僕がいつも参考にさせてもらっている公式ガイドブックだ。
■公式ガイドブックの謎
SFC版3の公式ガイドブックには王者の剣と光の鎧のイラストが載っている。それで前から思ってたんだけど、これってロトの剣やロトの鎧なんだろうか?
王者の剣など、ロトの剣とは完全なる別物と言っても差し支えないほど違う。仮に先入観なく両者を見比べた場合、果たして同一の剣だと思えるだろうか。光の鎧のほうはロトの鎧に似てなくもないが、そっくり同じものだと言い切るのは抵抗がある。
そして、これは【勇者の盾】も同様だ。勇者の盾は後に【ロトの盾】になったと思われる盾だが、こちらも似ている別物として描かれている。いったい何故なんだ。
《別物説》
最初の仮定が間違っていた説。
王者の剣・光の鎧・勇者の盾は後の世のロトの武具ではなかった、というのなら話は早い。が、これを否定しちゃったら流石にダメだろう。
《公式ガイドブック否定説》
公式ガイドブックは公式じゃない説。
小さい頃から慣れ親しんできた僕にとってのバイブル。今まで散々参考にさせてもらっておいてなんだけど、そこまで重視しなくても良い物なのかもしれない。公式と付いてはいるが、実際どの程度堀井さんが関わっているんだろうか。監修堀井雄二の文字がないものは、特に判断し難く思える。ただし、今回問題としているSFC版3公式ガイドブックには、いちおう監修堀井雄二と書かれている。完全に切り捨てることはできない。
《公式ガイドブック肯定説》
公式ガイドブックは公式である説。
一つ想像してみるのだけど、仮に僕がSFC版3公式ガイドブックのイラストを担当するとしたら(そんなスキルないけど)、王者の剣や光の鎧は絶対にロト装備のイラストを参考にして描くと思う。同じ物なんだから変えちゃいけないだろうし、変える必要もないはずだ。
じゃあ、どのような場合に変える必要が出てくるだろうかと考えると、やはり堀井さんに違うように描けって言われたときしかない。堀井さんが本当に監修しているなら尚更だ。つまり、あのイラストは意図的に描かれたものだと考えた方が自然なのではないか。というわけで、以降は公式ガイドブックは正しいという前提で話を進めていこうと思う。
■イラストの意図
ロトの武具たちを眺めたとき、彼らが最もロトだと主張している部分は何処だろう。それはロトの紋章(あの鳥のようなマーク)を置いて他にない。
そもそも王者の剣・光の鎧・勇者の盾が違和感ありまくりなのは、ロトの紋章がついてないからだ。いちおう似たような何かはあるが、もの凄く中途半端。しかし、あれが意図して描かれたものであるなら、本来の彼らにはあのマークがついてなかったということになる。つまりあのイラストは、ロトの武具にあるロトの紋章は3より後の世に施されたものだと暗に示しているわけだ。
すると次に疑問となってくるのは、ロトの紋章とは何なのか、いったい何処から沸いて出たものなのか、という点だと思う。そこで何か手がかりはないかと探ってみると、3当時からあの紋章が刻まれていたかもしれないアイテムが一つだけ存在した。後の世に【ロトの印】として伝わった【聖なる守り】だ。
“かもしれない”とは手持ちの公式ガイドブックに何故かそのイラストが載ってないから。それはすなわち3の時代にどういった姿をしていたのか分からないということで、裏を返せばロトの印だけは昔から同じ姿だった可能性もあるということだ。似て非なるものだった武具のケースを、ロトの印にまで当てはめる必要はない。
※GBC版は持ってないから分かりません。■ロトの印(一)
では、仮にロトの印と聖なる守りが見た目も完全一致する同一の物だったとすると、どういったことが考えられるだろうか。
《ロトの紋章はルビスの紋章説》
聖なる守りは3の主人公である勇者が精霊ルビスから授かったものだ。であれば、それに刻まれたロトの紋章はルビス由来のものである可能性があるかもしれない。しかし、その場合に引っかかるのが2に登場するルビスの守り。ルビスの守りはその名前が示すとおり2の主人公たちがルビスから与えられた物だが、その何処にもロトの紋章があしらわれていない。もしロトの紋章がルビスの紋章なのであれば、これは不自然に思える。
《ロトの紋章はロトの紋章説》
ここで一度、聖なる守り(ロトの印)がどういったアイテムだったか確認しようと思う。3の聖なる守りは、聖なる祠のじいさんに真の勇者だと証明するために必要だった。1のロトの印は、聖なる祠のじいさんにロトの血をひく者だと証明するために必要だった。2のロトの印は、聖なる祠のじいさんにロトの血をひく者だと証明するために必要だった。
もはや明らかだとは思うが、聖なる守りとは聖なる祠のじいさんに対して身分を証明するために必要なアイテムなのだ。500年間ずっと。そして、ここで注目すべきは3の聖なる祠のじいさん。彼は、なぜ聖なる守りを勇者の証と認めるのだろうか。1や2なら分かるけど、3はどうなんだ?
その理由を考えたとき、まっさきに思い浮かぶのはロトだと思う。ここでいうロトとは3より前の時代に存在した可能性のある勇者のことで、アレフガルドに伝わる真の勇者の証“ロト”の称号の由来であろう謎の人物のこと。いわばロトの始祖だ。そんなのが本当にいたのかどうかは知らないけど、その存在だけは匂わされている。
つまり3のアノじいさんが聖なる守りを勇者の証と認める理由は、聖なる守りがロトの始祖の所有物でありロトの血筋を示すものだからなのではないか。聖なる守りに刻まれた紋章はロトの家紋のようなもので、聖なる守りはロトの印と名を変える前からロトの印だったのかもしれない。そんなものを何故ルビスが持っていたのか、それは分からないけど。