■かわのたて

【かわのたて】(以下、皮の盾)はドラゴンクエストに登場する防具である。盾の中では、ナンバリングタイトルに皆勤を果たしている唯一の装備だったりする。


■デザイン

丸い木製の板に動物のなめした皮を張り合わせるという形を基本に、皮の盾には何種類かデザインがある。

初登場作品である初代ドラゴンクエストでは表面にドラゴンのような生き物が描かれていたが、FC版2では猛禽類のような鳥に変わり、FC版3では足が十二本ある謎の虫になった。その後しばらくは虫にデザインが統一されていたが、7になって幾つかの皮を継いだ無地のシンプルなタイプに変更され、それがリメイクも含めて9まで続いているといった感じだ。

どのデザインが好きかは好みの分かれる所かもしれないが、共通するのは素朴で親しみやすい雰囲気を醸し出している点だと思う。さすが皆勤。

■価格

皮の盾の価格だが、ロト三部作および4,9では90G、その他の作品では70Gとなっている。鎧などに比べれば安いとはいえ、店頭に並ぶ時期を考えると少々高価かもしれない。が、じつは多くの作品で買わずとも簡単に入手できるのだ。

<皮の盾の作品別入手場所>
入手場所
4(※) バトランド城下町(タンス)
5 サンタローズの洞窟(宝箱)
6 初期装備(ハッサン)
7 東の塔(宝箱)
8 トラペッタ(宝箱)
9 キサゴナ遺跡(宝箱)
※:リメイク版のみ

どうだろう、この優しさ。この気配り。こんな気前の良い装備品は、他にはあまり思い当たらない。ひとつ問題なのは、買った直後に宝箱などから入手するトラップに嵌る可能性が高いことだが、あれは寧ろ引っかかったらラッキーくらいに思っておこう。

■性能(一)

守備力+4。これが初登場時から一貫していた皮の盾の性能だった。そう、9が登場するまでは。なんと、最新作ではその守備力が+3に設定されていたのだ。これはドラクエ史に残る重大事件である。

考えてもみてほしい。皆勤でありながら、ずっと同じ性能だったのだ。凄くないだろうか? おそろしいまでの安定感ではないか。皮の盾は十八年の歳月をかけて、驚愕の記録を更新し続けていたのだ。ささやかに。ひそやかに。そして地味に。

ああ、それなのに、なんと九作目にしての守備力+3とは。二〇〇九年七月十一日、我々ドラクエファン、もとい皮の盾ファンは、一見無意味で、そのじつ無意味な記録更新の機会を永遠に失うに至ったのである。無念でならない。

■性能(二)

守備力+4。これが何を意味するかお分かりだろうか。いや、じつはあまり詳しくないんだけど、聞いた話によるとドラクエは、基本的に守備力が4上がる毎にダメージが1減少するゲームらしいのだ(呪文・ブレス系などは除く)。つまり、皮の盾を装備すると必ず受けるダメージが1減るということである。これは凄い。

おそらく1とか2とか小さいダメージが重要なのは序盤だろう。その序盤にて、皮の盾のようなお手軽かつ確実に働く装備が、どれだけあるかという話だ。たとえば布の服から旅人の服に買い換えたとして、全ての作品で必ず1のダメージが減るだろうか? 皮の帽子を装備したら、必ず1のダメージを減らしてくれるだろうか? しかし、皮の盾なら安心。

“あなたの受けるダメージを、もれなく1減らします” by信頼と実績の【皮の盾】

みたいな。守備力+3とか、そんなの知らない。

■おわりに

8をやってる時に感動したことがあった。各地の防具屋などに“謎の虫タイプ”の皮の盾がオブジェクトとして陳列されていたのである。最初の方に書いたとおり、8の皮の盾は“シンプルタイプ”であるにも拘らずだ。

つまりあの皮の盾は、開発スタッフさんのにくいファンサービスか、あるいはドラクエ愛の表出と考えられる。懐かしの虫模様を見つけて、思わず顔がにやけてしまった人は多かったのではないだろうか。今更ですが、最高の遊び心に感謝いたします。

了

UP:11/05/14
こんなのっぱら

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