■バブルスライム
【バブルスライム】は、ドラゴンクエストに登場するモンスターである。
２で初登場して以降すべてのナンバリングタイトルに皆勤している三種類の中の一種だ。今回は、そんなバブルスライムの話。
■どく
バブルスライムと聞いて最初に思い浮かべるのは、何と言っても【どく】（以下、毒）だろう。毒攻撃こそが、バブルスライムをバブルスライムたらしめている最大の特徴と言っても過言ではない。
毒というのは状態異常の一種で、バブルスライムと同じく２で初めて採用された要素だ。毒に冒された仲間は四歩歩く毎に一ポイントのダメージを受けてしまうため、速やかな処置が必要になる。解毒呪文であるキアリーを覚えるまで、その存在は厄介極まりない。そして、その毒状態にしようとパーティに襲い掛かってくる最初の敵が、だいたいの場合バブルスライムなのだ。
■役割
毒という状態異常は、序盤であればあるほど恐ろしいものだ。たとえキアリーを覚えていても、最大MPの少ない序盤では、冒険者のMP事情を圧迫してしまう。前述したとおりバブルスライムは最も早く出会う毒野郎であるから、毒を使う敵の中で最も鬱陶しい存在と言えるだろう。【どくけしそう】（以下、毒消し草）が冒険の必需品だと言われる理由も、コイツの存在が九割方を占めていると思われる。
そして、それこそがバブルスライムがシリーズを通して担っている役割だ。即ち、毒（延いては状態異常）の恐ろしさを伝えることと、その対処法を用意しておくことの重要性を身をもって分からせることである。敵モンスターとしては、かなり大切なポジションを任されていると言って良い。
また、タイトルは限定されるが、バブルスライムは他にも様々な役割を果たしている。例えば、２ではサマルトリアの王子に対する不信感を払拭させ、４の第一章では夜は昼より強力な敵が出現することを印象づけ、６やリメイク版３などでは通常攻撃と毒攻撃ではモンスターのアクションが違うという芸の細かさを見せつけた。
■仲間
スライムは【スラリン】。はぐれメタルは【はぐりん】。であれば、バブルスライムが仲間になった場合、その一匹目はバブリンであるはずだと思っていたことがある。テリーのワンダーランドで仲間になった僕のバブルスライムは、当然の如くバブリンという名前だった。
ところが、７で思いもよらないことが起こった。なんと、バブルスライムとは全く関係のない新モンスターに、あろうことか【バブリン】という名称が使われていたである。地味にショックだ。リメイク版６では色んなスライムが仲間になるらしいけれど、その中にバブルスライムはいるのだろうか。
■バブリン
では、７で登場したバブリンとはどのようなモンスターなのか。公式ガイドブック下巻には、次のように書いてある。
風船のようなモンスターで、フワフワと空中を漂っている。バギを唱えて相手全員を攻撃してくることがあるが、何もしないで様子を見ていることもある、気まぐれな一面も。
一般的にはこんな感じだと思うが、個人的にはちょっと不気味なイメージがある。通常攻撃のアクションが、口から小さいバブリンを沢山出してくるというものだからだ。また、やっかいな敵というイメージもある。登場する時期が、主人公たちが呪文・特技の力を奪われている時期と重なるためだ。色々な面で脳裏に焼きついているモンスターである。
■悩み
バブルスライムには悩みがある。その担っている役割を十二分に全うしているがため、どうしても嫌われがちなのだ。彼自身、６のスライム格闘場で次のように胸の内を吐露している。
＊「オレって 友だちが
できなくってさあ。
＊「やっぱり 毒が あるのが
まずいよなあ。
個人的に凄く好きな台詞だが、まぁ切ない内容だ。自虐ネタのようにも思えるが、同じモンスターからも嫌われているとなると可哀想である。しかし、彼らは本当にそんな悪い奴なのだろうか？ 思い出してほしい。バブルスライムが持っている宝箱の中身は、多くのタイトルで毒消し草。そこに、彼らの優しさが感じられると思うのだ。本当に悪い奴なら、せっかく毒を食らわした相手に治療できるアイテムを渡すわけがない。決して、
＊「万が一 オレが
毒になっちまったら
まるで 格好がつかんぜ。
とかいう理由で隠し持っているわけではない。
■人気
そんなバブルスライムであるが、その嫌われっぷりに次の事実が拍車をかける。
最初に触れたが、バブルスライムは１以外の全てのナンバリングタイトルに登場している三種類の中の一種だ。１から皆勤を続けているモンスターを含めても、その数は僅か五種類。バブルスライムが、いかに稀有な存在であるかが分かるだろう。スーパーレアな括りに属するモンスターなのだ。
そして、そのスーパーレアなモンスターたちは全てがスライム系。バブルスライム以外のメンバーはと言うと、スライム・メタルスライム・ホイミスライム・はぐれメタルというそうそうたる顔ぶれである。コイツらは、言わずと知れたモンスター人気投票で上位を占める常連組だ。一方、バブルスライムはどうだろう。
もちろん、これだけではバブルスライムが嫌われている証明にはならないかもしれない。だが、相対的に人気があるかどうかで言えば、やはり人気がないと言えると思う。
それにしても、この格差社会はどうにかならないのだろうか。バブルスライムだってスライムなんだから、よく見れば可愛いはずなんだ。緑色だし。
■おわりに
そういえば、僕の知人に一番好きなモンスターがバブルスライムだという人がいる。いや、そう言っていたような気がする。というか、そうであってください。