■勇者の足跡をたどれ!
今回は、初代ドラゴンクエストの主人公である【勇者】の足跡をたどってみよう。
■オープニング以前
と、思い立ったはいいが、1の勇者ってドラクエの中で一番謎に包まれた主人公ではないだろうか。両親が誰なのか分からないし、何処からやってきたのかも分からない。彼がそのうち現れるという予言はされていたようだが、どういう経緯でラダトームの城を訪れたのかも謎である。ただ、ずっと昔の先祖が3の勇者であるらしいことが分かっているだけだ。
その他の過去については、ゲームでも公式ガイドブックでも(たぶん)触れられていない。だから、僕は特に根拠もなく、1の勇者はアレフガルド周辺の大陸から渡ってきたのかな、と思っていた。もちろん、1のオープニング以前にそれらの大陸が既に存在していたならば、の話だが。
しかし、いつだったか久しぶりにドラクエをやっていると、リムルダールの町にいる戦士から、突然こんなことを言われたのだ。
*「いよお ○○○○!
○○○○じゃないか!
ひさしぶりだなあ。
ちょっと話を聞こうかなと思ったら、やたらとフレンドリーに話しかけられて、
*「え? おお ひさしぶり……。
とか何とか、つい勢いで返しちゃったものの、やべぇ、コイツ誰だっけ? 俺のこと知ってるらしいけど、さっぱり思い出せん……。
という危機的状況におちいっている勇者を想像してしまったが、そんなことは多分あるはずもなく、戦士は勇者の名前を知っているくらいだから、二人は本当に知り合いなのだろう。
それで、ふとこんなことを思った。もしかしたら、リムルダールは勇者の出身地なのではないだろうか。つまり、この戦士は旧友ということだ。上記の台詞によって、それを密かに示していたとか。とは言っても、他の町の人の台詞からはそんな様子が微塵も伝わってはこないので、まるで確信は持てないのだが。
奇妙なのは、上記の戦士も、その台詞の内容も、リメイク版で消されてしまったことだ。FC版では、容量の少ない中わざわざ喋らせたものであるにも拘らず。そこで詳細に調べていった結果、ある事実が判明した。じつはあの戦士の台詞には、知られてはいけない重要かつ危険なメッセージが含まれていたのである。それは……
などというミステリー調の展開が僕にできるはずもなく、結局の所さっぱり分からない。
■エンディング以降
こんな具合に、その経歴の殆どが謎のベールに包まれている1の勇者だが、翻って世界に平和を取り戻した後にどう生きたかが最も伝わっている主人公でもある。彼は、エンディングにてラダトームの王女であるローラ姫と共に旅に出た。そして、新たなる地に100年以上も繁栄を続ける国を築き上げたのだ。しかし、そのことに関して少し分からないことが出てきた。以下の二つの文章を見てもらいたい。
若者は王女ローラと共に新天地を目指してその地を旅立ち、
はるか遠き大陸に美しい国を築いた。
国はその後3つに分けられたが、
3国はロトの姉妹国として、共に発展していったのだ。
若者は その後
ひとりの女性とともに 旅に出て
いくつかの 新しい国を
築いたのでした。
それらの国は 若者の子供たちに
よって 代々 治められたと
伝えられています。
一つ目の文章では、勇者が築いたのは一国で、それが後に三つに分けられたとなるが、二つ目の文章では、勇者が築いたのは一国ではなく、複数ということになっている。国が分かれて増えることを築くと表現するのなら問題ないけれど、どうなのだろう。
もし表現しないのであれば、勇者は幾つかの国を築いたものの、さまざまな変遷(消滅や統一)を経て一国となり、それが最終的に三国に分けられた、というような面倒くさい仮定が必要かもしれない。
二つ目の文章にあるように、分けられた国が勇者の子供によって治められたということは、勇者とローラの間には三人の子供が誕生し、それぞれに国を治めさせようとしたのだろうか。つまり、分与のような形で。
三国とは、ローレシア、サマルトリア、ムーンブルクのことだから、後の時代に領土拡大などがなかったとすると、分与前の国は随分と広大だったことになる。1の勇者はデカイことをしたものだ。いったい何が目的だったのだろう。
■おわりに
最後になってしまったが、2の世界で1の勇者は伝説のロトとして伝わっている。つまり、彼はロトの称号を授かったということだろうけれど、思い返せば記憶にない。
もしかしたら、ラルス16世は世界が平和になったことで舞い上がってしまい、ロトの称号のことなどすっかり失念していたとか。そして、冷静になってから思い出したものの時既に遅く、何年か後にローラが帰省した際、今更だけどといった感じで授けたとか。真相は分からないが、1の勇者がロトの子孫という立場からロトそのものになったことは違いないのだろう。
★追記(10/06/25)
SFC版公式ガイドブックに、次のような文章があった。
大陸に着いた勇者は、美しい国を築き、最愛の妻の名を冠してローレシアと名づけました。時とともに、国は三つに分けられ(以下略
サマルトリアとムーンブルクは、ローレシアから分割された国だったようだ。
それはそうと、ローレシアという名前の由来がローラ姫だというのが何だか安心する。最愛の妻とも書いてあるし、勇者とローラ姫の関係は良好だったらしい。というか、なんで僕は彼らの夫婦仲を心配してるんだ。