■メイジドラキー
このページでは、【メイジドラキー】について書かせてもらう。
何故メイジドラキーなのかと訝る人もあるかもしれないが、それにはそれなりの理由があるのであって、断じてドラクエ1のカテゴリのネタが他になかったからというわけではない。そう、問題はそこだ。メイジドラキーをメインにして書くと1にカテゴライズされるのだ。すなわち、メイジドラキーは1にしか登場しないということである。
確かに一作品にしか登場しないというモンスターは他にもたくさんいる。しかし、僕の中ではメイジドラキーは他のモンスターと違って少し特殊な事例なのだ。どのあたりが特殊なのか明確するには、まず種属について説明しなければならない。
■種属とは
ここで言う種属とは、公式ガイドブック内におけるモンスターたちの分類のことだ。その区分は絶対のものではなく、作品によって異なっている場合もある。例えば、FC版3ではスライムとホイミスライムとバブルスライムは違う属に分類されていたが、FC版4では全てスライム属になっていたり、7以降ではリメイク含め種属という概念そのものが消えていたり。
まあそれは置いておくとして、種属の分類は基本的にモンスターの形に基づいて整理されている場合が多い。つまり、色違いモンスターは同種属だということだ。ギズモとヒートギズモとフロストギズモは同種属であり、リリパットと毒矢頭巾とアローインプも同種属である、という具合に。
そして、数ある種属の中には、何作品にも登場しているものもあれば、そうでないものもある。登場する種属は度々登場するし、出番がない種属は驚くほど出番がない。世間一般の嗜好のか、あるいは開発スタッフさんの好みなのかは分からないが、いずれにしろこの登場頻度の差には人気の度合いが影響していると思われる。可哀想ではあるが、支持がなければ消える運命にあるのだろう。
ところが、そういった不人気種属モンスターとは別に、何故か忘却の彼方へ追いやられたものたちが存在するのだ。このページでは、便宜上その手のモンスターたちを、はぐれモンスター(はぐれ)と呼ばせてもらうことにする。
■はぐれモンスターとは
それでは、はぐれモンスターとは何なのか。例を挙げるなら、2ではゴールドオークが、3では殺人鬼が、4ではブルデビルが、5ではマドルーパーが、6ではダークサタンがはぐれにあたるのだが、こいつらには共通点がある。それは次の三点だ。
- 種属初登場時からその属に在籍している。
- 在籍している種属の登場する作品が三作以上。
- にも拘らず再登場はしない。
彼らは種属自体がなかったことにされている不人気モンスターとは違う。他の同じ種属の奴らは何度も登場してるのに、何故か自分だけは出させてもらえないという、まさにはぐれてしまったモンスターたちなのである。
そうそう一応断っておくが、はぐれモンスターとはぐれメタルには何の関係もない。奴はじつは全然はぐれていやしないからだ。本当のはぐれとは上に挙げた奴らや、その最たる存在であるメイジドラキーなのである。これがメイジドラキーをメイン題材にした理由だ。それでは、メイジドラキーとはどんなモンスターなのかを簡単に紹介しよう。
※はぐれモンスターは他にもいますが、調べてないから詳しい数は分かりません。■メイジドラキーとは
さて。メイジドラキーとは1で初登場したドラキー属に属するモンスターで、身体は赤色をしており、ギラを使用し攻撃してくる。
そう。ドラキーだ。
ドラキーといえば常連モンスターの一匹で、1以外にも2,5,8,9で再登場しており、その愛らしい姿と待遇の良さから数多のモンスターの中でも知名度はかなりものだ。
初登場作品である1ではレベル1の勇者の前に強敵として立ち塞がり、何が何だか分からないまま城から離れて、何が何だか分からないままドラキーと遭遇し、何が何だか分からないままやられてしまった冒険者も多いのではないだろうか。
その後の作品でも、レベル3程度になった主人公の相手という位置づけで序盤に登場し、5では仲間モンスター、8ではスカウトモンスターとしても採用され、すぎやまこういちさんのあだ名である『すぎやん』の名を持つ個体まで存在するという、まさにモンスター界のセレブリティである。
ん?
メイジドラキーについて書いているつもりが、いつの間にかドラキーについて書いてしまっていた。だがそんなことはどうだっていい。そもそも1にしか出てないのにそんなに書くことがあるわけない。
僕が言いたかったのは、あのドラキーと同属であるにも拘らず、メイジドラキーのほうは1で登場して以来全く音沙汰がなくなってしまったということだ。それも今までに四回も再登場のチャンスがあったというのに。上でメイジドラキーのことをはぐれの最たる存在と書いたのは、こういう理由からである。キング・オブ・はぐれの称号が相応しいヤツは、こいつを置いて他にないだろう。
しかし、何故メイジドラキーはまったく登場させてもらえなくなったのだろうか。
■メイジドラキーがはぐれた理由とは
僕の拙い想像力で理由を幾つか考えてみた。
1 | 立場の似たモンスターの存在 |
2 | 名前に問題あり |
3 | 地味 |
4 | その他 |
これは驚いた。拙いにも程がある。だが今更どうしようもないので、一応それぞれ検証してみよう。
<立場の似たモンスターの存在>
まず考えられるのは、棲み分けの問題だ。つまり、メイジドラキーと役割の被るモンスターがいて、そいつのせいで登場することができなかったのではないだろうか。1でのメイジドラキーは、呪文を使用し攻撃してくる序盤のモンスターという立ち位置にあったが、ドラキー属が登場する他の作品では、それぞれ似たニッチに次のモンスターがいる。
2 | 魔術師 |
5 | おばけキャンドル |
8 | メラゴースト |
9 | メラゴースト |
まず2の魔術師と5のおばけキャンドルを見ていただきたい。こいつらは、共にその作品が初登場の新モンスターだ。以前に出ていた奴よりは新しいモンスターを使おうということで、メイジドラキーが追いやられてしまったのだと容易に想像できるだろう。
では8と9はどうだろう。メラゴーストは4が初登場であるから、新モンスターではない。従って立場のみを考えるならば、メイジドラキーが出ても全く問題なかったわけである。が、実際は登場できなかった。他に理由があるということだ。
<名前に問題あり>
8と9は棲み分けの問題ではなかった。そこで、メイジドラキーとドラキーの違いを探してみることにする。その違いが、登場できるか否かを分かつ理由なのではというわけだ。
両者の違いはどこか。言うまでもなく名前だ。例えば、上で挙げた3のはぐれこと殺人鬼。同じ殺人鬼属のエリミネーターやデスストーカーは他作品でも登場するが、殺人鬼だけは出てこない。これは思うに、その生々しい名前により敬遠されたのではないだろうか。その証拠と言うか何と言うか、8では殺人鬼と酷似した色のごろつきというモンスターが出てくる。それにしても、殺人鬼属のくせに殺人鬼だけ出てこなくなるってどうなんだ……。
まあ殺人鬼は置いておくとして、メイジドラキーの場合はどうかが問題だ。メイジとは魔法使いや魔術師といった意味の英語で、それとドラキーを合わせた名前だ。つまり、メイジドラキーとは魔法を使ってくるドラキーという意味だろう。名は体を表すというが、そのまんまの名前だ。が、何の問題もない。というか、メイジがついてるモンスターなんて他にも結構いる。殺人鬼のケースはメイジドラキーには当てはまらないようだ。
<地味>
メイジドラキーとドラキーの違いは、名前以外にもある。色、パラメータ、行動などだ。これらが違ってくると、いくら同じ形でも印象はまるで違ってくる。というわけで、これらの違いがどうしようもない地味さを醸し出し、登場させてもらえなくなったということは考えられないだろうか。
例えば、上で挙げた5のはぐれことマドルーパー。地味だ。地味すぎる。色は灰色、唱えてくる呪文はスカラ、殆ど印象に残らない。というか、はっきり言ってドロヌーバと見分けがつかない。その一方で、同種属のジェリーマンは派手だ。色は赤く、モシャスを使用し、ちいさなメダルを落とす。印象に残りまくりだ。
それではメイジドラキーの場合はどうか。色は赤で地味とは言いがたい。使ってくる呪文はギラであるが、序盤の攻撃呪文の使い手となると印象にも残りやすいだろう。つまり、マドルーパーのケースもメイジドラキーには当てはまらないことになる。じゃあいったい何がいけないんだ?
<その他>
分からない。悪いところなんて何もない。実際にメイジドラキーを8や9で登場させてみたら、違和感なく溶け込むんじゃないだろうか?
そうだ。その場面を想像してみればいいのだ。えーと、例のごとく拙い想像力をフル稼働して…………こ、これは!? 恐ろしいことが判明してしまった。こんなことがあっていいのだろうか? メイジドラキーが1以来登場できない理由。それは身内にあったのだ。8も9もメラゴーストの出てくる場所には、なんとドラキーも出てくるのである。
つまり、
*「ドラキーと メイジドラキーが
一緒の場所に 出てきたら
何か変だな。
*「じゃあ
メイジドラキーの 代わりに
メラゴーストを 出すか。
ってな具合に軽い感じで却下されたのではないか。なんてこったい。
■おわりに
ああ、メイジドラキー。思えば彼の扱いは1の時点で既におかしかった。魔法使いと思い切り役割が被っていたからだ。
案の定2ではドラキーマ共々戦力外にされ、代わりに入ってきた緑色の新入りを見ながら、
*「何だ あのタホドラキーって野郎は。
タホって何だよ 意味わからねえ。
と一緒に愚痴をこぼしていたに違いない。しかし、友だと思っていたドラキーマには5,8,9と立て続けに裏切られ、後輩のタホドラキーには8,9に連続出場されるという有様。もはや今ではドラキー三人衆と言えばドラキー、タホドラキー、ドラキーマのことである。無念としか言いようがないが、果たしてこの先、彼が再び登場する日はやってくるのであろうか。メイジドラキーファンは今こそ立ち上がるときだ。
そう言えば、メイジドラキーと似た境遇にあったスターキメラは見事9で返り咲いた。上手くやりやがったな、あの野郎……。