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初代ドラゴンクエストのROM容量は64KBだったらしい。これは所謂ガラケーの待ち受け画面一枚分の容量だと、とあるインタビューで堀井さんが語っている。その限定された条件下でゲームを完成させるにあたり、データ削減のためのさまざまな工夫がなされたようだ。
さて。そんな初代ドラゴンクエストに、二つの【。】が存在していることをご存知だろうか。前述した容量の関係で限られたカタカナしか搭載できず、よく使う文字が堀井さんによって選別され、キャラクターや町やモンスターの名前はその中で決められたゲームであるにも拘らず、どういうわけか句点は二種類も存在しているのだ。
以降、これら二つの句点を、便宜的に【普通の句点】と【変な句点】と呼ぶことにする。
■二つの句点の違い
普通の句点と変な句点の違いを見ていこう。
まず、当たり前だけど見た目が違う。普通の句点は普通の見た目をしているのだが、変な句点は変な見た目をしている。もっと詳しく言えば、普通の句点はFC版の2や3や4と同じ句点で、変な句点はそれより一回り小さいのだ。また、普通の句点が野球で右打者に対したときの外角低めに位置しているとしたら、変な句点は内角やや低めに位置している(何を言っているのか分からないかもしれないけれど)。
次に、使用頻度が違う。普通の句点は普通に使われているため圧倒的に数が多いのだが、変な句点は数が少ない。変な句点は文字通りイレギュラーな存在と言っていいだろう。
では、何故に初代ドラゴンクエストにはこれら二つの句点が存在しているのだろうか。
■二つの句点が存在する理由
結論から言えば、ぜんぜん分からない。謎である。
謎であるが、このあいだ変な句点を眺めていて気づいたことがある。イレギュラーな存在である変な句点だが、使用箇所にある共通点があったのだ。変な句点は、必ず【〜がよい】という文章の最後にくっついていたのである。それ以外の場所に変な句点があるケースはなく、反対に【〜がよい】という文章の最後に普通の句点があるケースもゼロだった。例えば、
*「たいりょくに じしんが
あるなら はいるがよい。(←変な句点)
*「もし そなたが のろわれたなら
ここに くるがよい。(←変な句点)
*「わたしは よしりーん。(←普通の句点)
マイラのおふろから みなみに4つ
あるき しらべるがよい。(←変な句点)
*「そなたが しるしをもとめるなら
このまちの しんでんにすむ
ちょうろうを たずねるがよい。(←変な句点)
*「ここには もう ようがないはず。(←普通の句点)
いくがよい。(←変な句点)
と、こんな具合である。つまり、変な句点は【〜がよい。(←変な句点)】で一つの存在だったのだ。このことがいったい何を意味しているのか、容量削減につながる工夫の一つなのか、残念ながら分からない。
■おわりに
仮に機会があったとして、誰に尋ねれば分かるだろうか。ここはやはり中村光一さんか? まあそんな機会ないけども。