■塔
【風の塔】・【大灯台】・【満月の塔】。ドラクエ2三大タワーである、この三基の塔の共通点をご存知でしょうか。
それは“階下に下りることで目的地に到達できる”という構造に他なりません。かくいう僕は知人に教えられるまで全く気づいておらず、確かにそうなっとるなとテンションが上がりました。考えてみれば、じつに興味深いことです。
おそらく大半の人は、洞くつであれば最深部、塔であれば最上階が目的地であると思うのではないでしょうか。ある種の常識の如く、ほとんど無自覚的に、半ば盲目的に、そう脳が理解している気がします。そして実際、多くのダンジョンがそうであることも事実です。
しかし、この三基の塔は違います。最上階まで登らず、途中で階下へ向かわないと攻略できないのです。まさに人間心理を逆手にとった仕掛けと言えるでしょう。そうとも知らずプレイヤーは偽のゴールである最上階を目指し、登りきったところでようやく気づくという寸法です。
これだけでも素晴らしいのですが、更に一工夫凝らしてあるのが凄いところです。それは、風の塔や満月の塔の最上階に、宝箱が一つ置かれている点です。それを見つけたプレイヤーは、多分その中身が目的のアイテムと信じて疑わないでしょう。が、開けてみると中からは全然違うものが出てきます。出てくるどころか空っぽだったりします。最大限に期待を高めてから裏切るこの演出。見事としか言いようがありません。
常識を打ち破られたプレイヤーは、続けて真のゴールを探すことを迫られますが、一度クリアしたと錯覚した直後だけに疲労感は増します。多数設置されたダミーの階段もそれに拍車をかけるでしょう。さまざまな効果が折り重なって、ダンジョンを複雑にしているわけです。その分、クリアしたときの喜びは大きくなります。容量はありません。派手な仕掛けは作れません。しかし、それらを補って余りあるアイディアがあったです。
そんな古き良きドラゴンクエストが、復刻版としてWiiで発売されるようです。いにしえのハードたちがいつまで現役でいられるか分からない今、欲しいところではあります。
ただ、Wiiも、それを買うお金も、お金を作るアイディアも僕にはないのが問題ですが。