■ギアガのおおあな

ドラクエ3に登場する【ギアガのおおあな】(以下、ギアガの大穴)について。


■大穴の場所

ネクロゴンドの東、地上にあいた大きな穴ぼこ。それがギアガの大穴だ。ゲーム中では不死鳥ラーミアに乗って飛んで行く以外たどりつく手段はない。

そんなだから普通の人は一生お目にかかることがない幻のスポットなのだろうと思いきや、じつはそうでもないらしい。というのも、ギアガの大穴を見張っている兵士の一人が次のようなことを言っているからだ(SFC版)。

*「ここは ギアガの大穴。
  われらは ここを見張っている。
*「ときどき やって来る者が
  いるのだ。人生を はかなんで
  身を投げようと する者がな。
*「どう見ても 天国へ
  つながっているとは
  思えぬがな。

なんとギアガの大穴は自殺の名所だったのである。

だが、先ほど言ったとおり、大穴は冒険のプロである勇者たちでさえラーミアの力を借りてやっと近づくことのできる秘境にある。一般人が向かうとなれば、まずアッサラームの半島から海を渡って火山近くの森へ上陸し、続いて南に下って川だか湖だか分からん水をイカダを作るか泳ぐかして通過。その後険しい岩山を越え再び湖を渡り、最後に毒の沼地を抜けて漸くたどりつけるわけだけど、そんな根性あるなら死ぬ必要なくね?

■大穴の謎

ここから本題。ギアガの大穴について、二つほど素朴な疑問がある。

≪疑問その一≫

ギアガの大穴とは、簡単に言えば上の世界と下の世界(アレフガルド)を繋いでいる穴だ。しかし、そのことを上の世界に住む者たちは知らない。穴の傍にいる二人の兵士も、自分たちが見張っているものが何なのかを把握していないらしく、

*「この大穴に 入っていった者は
  誰ひとり 帰ってこぬ。
*「穴の中が どうなっているのか
  誰も 知らぬのだ。
*「もし そなたの仲間が こんらんして
  穴に とびこもうと したときなどは
  たたいてでも 正気づかせることだ。
*「こんらんは たたいて なおす。
  これは 戦闘中でも いえることだがな。

と、今更パーティアタックの話をしてくる。この兵士たちを除けば、上の世界でギアガの大穴について話してくれる者は一人しか存在せず、オマケに人間であるかどうかも怪しい。最後のカギが置かれた浅瀬の祠に住む骸骨だ。コイツだけは大穴の秘密を知っているようで、次のように語ってくる。

*「私は いにしえを
  語りつたえる者。
*「イシス砂漠の南
  ネクロゴンドの 山奥に
  ギアガの大穴 ありき。
*「すべての災いは
  その大穴より いづるものなり。

その一方で、アレフガルドではギアガの大穴や上の世界のことを多くの人が知っている。

<ラダトーム西の船着場のあらくれ>

*「おや? また お客さんか。
  そうか! あんたも 上の世界から
  やってきたんだろう!

<ラダトーム城下町のあらくれ>

*「われらの 祖先は
  ギアガの大穴を 抜け
  この地に うつり住んだそうだ。

<ラダトームの城の神父>

*「おや 見ない顔ですね。
  なんと 魔王をたおすため
  上の世界からっ!?

<ドムドーラの剣士>

*「この空の上に さらなる世界があり
  そこには 光の玉とよばれる物が
  存在するらしい。

と、こんな感じ。では、なぜアレフガルドの住人は上の世界のことを知っているのに、上の世界の住人はアレフガルドのことを知らないのだろうか。これが一つ目の疑問だ。

≪疑問その二≫

ゾーマを倒すと、ギアガの大穴は閉じてしまう。これはおそらく、ゾーマの力によって上の世界とアレフガルドが繋がっていたからだと思われる。ちょうど6の夢世界と現実世界がデスタムーアの力によって繋がっていたのと同じように。

しかし、上で紹介したラダトーム城下町のあらくれの話によると、アレフガルドに暮らす人たちの先祖は、元々上の世界に住んでいたようだ。そしてアレフガルドは精霊ルビスが創造した大地である。ということは、ルビスは上の世界の人々を移住させるためにアレフガルドを創ったと考えるのが妥当だろう。特に意味もなく大地を創り、そこに上の人たちが偶然移住してきましたでは、あまりに脈絡がない。

そしてルビスが人々のアレフガルドへの移住に関わったとするならば、ギアガの大穴はルビスによって開けられたものでなくてはならない。それでは、なぜゾーマを倒すことでギアガの大穴は閉じてしまうのか。これが二つ目の疑問である。

■大穴と移住

結局は想像でしかないんだけど、仮に上の世界からアレフガルドへの移住が秘密裏に行われたとしよう。であれば、アレフガルドの住人だけが上の世界を一方的に知っているという状況は、とりあえず生まれる。

では、なぜ移住は秘密裏だったのか。思いつくのは、移住が自由なものではなかった可能性だ。つまり、移住はある特定の人たちに限定されていたのではないだろうか。そもそもルビスがアレフガルドを創った目的は、二つの世界に人間たちを振り分けることにあったのかもしれない。そしてその場合、両世界間で人々の往来があっては意味がないので、当然ルビスは大穴を閉じただろう。

ところが、いつしかアレフガルドに現れたゾーマが上の世界の支配をも目論み、自身の配下を送り込むために閉じられていた大穴を開けてしまう。すなわち、最初に大穴を開けたのはルビスだったが、3の時代の大穴はゾーマによって開けられたものということだ。だからゾーマが倒れると大穴は閉じてしまうのではないか。もちろん、ゾーマが倒された後にルビスが大穴を再び閉じた可能性もある。

問題なのは、どういう基準で移住者が選別されたのかとか、何で振り分ける必要があったのかとか、その辺りがぜんぜん説明できないことだ。なんかドラマがありそうだが、とっかかりが見つからない。

■おわりに

それはそうと、地面に開いた巨大な穴というのは相当怖そうだ。そして、空に開いた巨大な穴もさぞかし恐ろしいと思う。暗くてよく見えないかもしれないけど。

了

UP:11/09/15
こんなのっぱら

―DRAGON QUEST FAN SITE―

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