■せんし

今回は、ドラクエ3に登場する職業【せんし】(以下、戦士)について書こうと思う。


■基本情報

戦士は、その名のとおり戦いのエキスパートで、打撃攻撃に関しては武闘家と並んで最も活躍してくれる仲間だ。HPも豊富で強力な防具も装備できるため、やられにくいのも特徴。パーティの最前線で戦ってくれるだろう。ルイーダの酒場にいる剣士が薦めてくれることもあり、オーソドックスな職業の一つと言える。

ただし、素早さが低いために攻撃は後手に回ることが多くなる。呪文も一切覚えず、MPも上昇しない。また、装備品が充実してこその戦士という面がある。やたらとお金がかかるので、モンスターだけでなくパーティのお財布にも大ダメージだ。

■武闘家との比較

上でも触れたが、戦士と同じく打撃攻撃の専門家として活躍する職業に武闘家がある。では、両者の違いは何か。まず、武闘家と戦士が相手と比べ優れていると思われる点を、それぞれ書き出してみよう。

<武闘家の長所>
  • 装備に費用がかからない。
  • 会心の一撃が出やすくなる。
  • 全職業中トップクラスの素早さ。
<戦士の長所>
  • 装備可能な武具が充実している。
  • 一部の強力な武器が使用できる。
  • 買い物が楽しめる。

取り敢えずこんなところだろうか。では、これらをもう少し細かく見てみよう。

《武闘家の長所》

<その一。装備に費用がかからない>

全職業の中で最も金を食わないので、ひとりパーティに居るだけでお財布にやさしい。武闘家に使わなかったゴールドは他に充てることができるため、仲間にもやさしい。金食い虫の戦士とは正反対だ。

<その二。会心の一撃が出やすくなる>

武闘家が誇る唯一無二のアドバンテージがこれ。武器がショボくても何のそのである。はぐれメタルはもちろん、ボスキャラたちも真っ青だ。

<その三。全職業中トップクラスの素早さ>

戦闘の基本は、まず相手の頭数を減らすこと。誰よりも早く動き敵を仕留めることができる武闘家は、その役に最適だろう。また、3はそのシステム上、素早さの半分が素の守備力になる。素早さの高さは、防具のショボさを補っている面もあるのだ。

《戦士の長所》

<その一。装備可能な武具が充実している>

強力な武器が装備できるために、普通の攻撃なら武闘家より強力。安定して大ダメージを与えてくれる。また、上で書いたシステム上の理由から素の守備力は低いが、それを補って余りある防具を装備できる。

<その二。一部の強力な武器が使用できる>

3では、一部の例外を除いて装備できる武器しか使用できない。逆に言えば、装備できるものなら使用できるということ。雷神の剣や稲妻の剣、吹雪の剣などを持っている場合、戦士は広範囲への攻撃も可能となる。

<その三。買い物が楽しめる>

買い物は旅をする上での一つの醍醐味だと思う。新たな装備品を買って強くなっていくあの嬉しさは、誰もが経験したことのある喜びではないだろうか。戦士はそれを存分に味わえる存在だ。上で武闘家はお金がかからないと書いたが、裏を返せば装備にロクなものがないということ。鉄の爪と武闘着(あるいはみかわしの服)を買ったら終わり。つまらん。

とまぁ、このように戦士と武闘家は一長一短。なかなかバランスが取れているように思える。が、これは全てFC版での話。リメイク版では話が違ってくる。

■リメイク版での地位

簡単に言うと、リメイク版では武闘家が地位を上げ、戦士は地位を下げた。武闘家は短所だった装備品のショボさが改善され、買える物もいくらか増え、破壊の鉄球という空気の読めない武器の登場により全体攻撃も手にしたのだ。反対に戦士は目を見張る変化なし。悪くなったところはないのだが、良くなったところも特にない。だから相対的に弱くなってしまったわけだ。その結果、

*「戦士って必要なくね?

という声を、ちらほら聞くようになった。そして、あるいはそのとおりなのかもしれない。戦闘面だけに注目すれば。

■戦闘面以外での戦士

戦士が必要ないというのは、だいたい強いパーティを目指している人だ。しかし、冒険の仲間というのは、何も戦闘だけに関わってくるわけではない。確かに強さが重要であることは認めるけれど、彼らは同時にドラクエの世界観を形作っている要素でもあるのだ。

戦士という職業には、戦士にしかない独特の雰囲気や趣が存在している。また、戦士にしか装備できない武器にも、ある種の魅力が具わっている。それは他の職業でも同じだが、戦士の持つそういったものに惹かれる人は、おそらく少なくないだろう。

また、戦士には他の職業にない大きなアドバンテージがある。それは、伝説の勇者ロトのパーティに存在していた(らしい)と後世に伝わっていることだ。言わずもがな、戦士の指輪に纏わる伝説としてである。となれば、原作設定を重視したい人にとって、戦士は他のどの職業よりも最終パーティに相応しい仲間と言えるはずだ。

従って、戦士が必要ないなどということは、全然ない。

■おわりに

もちろん強いパーティを目指すことが間違っているわけではない。それも一つの形であることは確かだと思う。しかし、そもそも3の売りの一つはキャラクターメイキング。強さのみに拘って職業の選択肢を狭めることは、本来の良さを損なってしまうのではないか。もし正解があるとするならば、個々のプレイヤーがポリシーを持ち、好きなパーティを作り、思うように冒険することであって、誰もそれを否定することはできないはずだ。

了

UP:11/01/01
こんなのっぱら

―DRAGON QUEST FAN SITE―

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