■王宮戦士の足跡をたどれ!

突然ですが、イムルの村で発生した神隠し事件の捜査に駆り出された王宮戦士が全部で何人だったか覚えているでしょうか。そう、八人です。八人の戦士が、あの日城の広間に集められ、バトランド王から直々の命を受けたのです。当然ですが、ライアンを除けばその数は七人ということになります。

では、ライアンが事件の捜査中に接触できる同僚は、全部で何人だったでしょう? それを確認するために、今一度あの時の記憶をたどってみましょう。

まず、命令を受けた直後ライアン以外の戦士は、みな早足で捜査に向かったことを思い出してください。しかし、やたらと足の鈍い思い切りやる気のない戦士が一人いました。彼が一人目です。

二人目は、2からお馴染みになった“装備品は持っているだけじゃダメだ”というアドバイスをしてくれる戦士。バトランドは税金が安くて俺たちの装備はショボいという雑談に絡めつつ教えてくれます。彼は城下町にいるのですが、夜になっても町のじいさんと雑談しているだけで全く捜査に向かう気配がないという、これまたやる気のない戦士です。

三人目。彼は恐らくやる気はあります。やる気はあるのですが、極度の方向音痴のために一本道のイムルへの洞窟で迷ってしまっています。おまけにプライドが無駄に高いので、ライアンの助けも借りようとしません。結果、何の役にも立ちません。

四人目の戦士はどうでしょう。彼は事件の起こったイムルの村に早々と到着しているので前の三人より優秀です。また、西にある湖の塔が怪しいぜ、という具合に勘の鋭さも見せます。が、そこからは何もしようとしません。結局そのまま終わりますから、じつは他の戦士と大差ありません。

五人目は湖の塔にいます。彼は、何の情報も得ていないのに、たまたま古井戸の底に迷い込み、たまたま空飛ぶ靴を見つけ、たまたま塔にまで飛んできたという、運だけで事件の核心に迫りつつあった男です。しかし、ホイミンを仲間にしてあげないという大失策を犯したために、かなりの苦戦を強いられています。

というか、ホイミンを仲間にしてやるんだったよ、とか言う以前に、他の戦士と一緒に捜査しようという選択肢はなかったのでしょうか? そもそも、何で全員単独行動なんでしょう? 仲が悪いんですか?

脱線しました。話を戻しましょう。次は六人目ですが、この戦士は誰よりも早く事件の全貌を知った人物です。しかし、そのために殉職してしまうことになります。一番頑張ったがために命を落とすとは、なんて理不尽な話なのでしょうか。

さて、最後に七人目。皆さんは、彼の姿を見たことがあるでしょうか。僕はありません。いくら探しても、影も形も見当たらないのです。僕が知らないだけで、何処かにいるのでしょうか? そうでないなら、いったいどういうことなのでしょう。彼もまた、神隠しにあったとでも言うのでしょうか。

いいえ、恐らくそうではありません。第一章の終了時に特に何の問題も起こっていないことから、そのような事件はなかったと思われます。つまり答えは一つ。この戦士は捜査をサボって何処かに身を隠していたのです。オマケに王さまの前では、あたかも“俺はやる気があります!”という態度で真っ先に捜査に向った(ように見せかける)汚さ。

そして、事件が解決したと知るや否や何処からともなく現れて、いやあ良かったね! と、ぬけぬけと抜かしてやがったに違いありません。こっちにはライアン以外誰が誰だか見分けがつかないのをいいことに、捜査に参加しなかった他の王宮戦士たちの中に紛れ込んでいたのでしょう。ふてえ野郎です。

いや、待ってください。思い返せば、一人目の戦士も最初の画面以外では見かけませんでした。なんと彼も何処かに姿をくらましたのです。つまり、捜査開始から事件解決までの間ずっと姿を確認できるのは五人だけ。そして前述の通り、二人目も三人目も四人目も、はっきり言って何もしていません。隠れていないだけマシと言えるでしょうか? しかし、それだけで評価していいのでしょうか?

いやいや、ちょっと待ってください。あの思い切りやる気のない一人目が、実は二〜六人目の誰かだという可能性があります。さっきも言ったとおり、見た目だけでは区別がつかないのですから。だとすると、真っ先に出ていった六人の中に何処かに隠れていた許し難い戦士が二人もいるということに。

それはそうと、仮に一人目が六人目なのだとすると何か凄くカッコよくないでしょうか。

*「まあ のんびりやろうや ライアン。
  と言っても お前は まじめだから
  さぼったり できないだろうけどな。

とか何とか言っておきながら実は一番優秀で、事件の核心に最も早く迫るも後一歩のところで致命傷を負い、自らが掴んだ真実と子供たちの命を親友に託して死ぬ。これって、ひょっとすると主人公より人気出る系のキャラ!? よく知りませんが。

何が何やら分からなくなってきましたが、僕はそんな王宮戦士たちが大好きです。

了

UP:10/12/05
こんなのっぱら

―DRAGON QUEST FAN SITE―

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