■緊張感の欠片もねえ!
ドラクエ6では、それまでの作品に存在した、ダンジョン探索における緊張感が失われてしまった気がする。
- 袋
- ねる
- 何処からともなくホイミ
この三つが存在するためだ。
【何処からともなくホイミ】というのは、パーティが何処にいようとも、移動中であれば馬車に待機している仲間の呪文が使える、あのシステムのことである。【袋】は色んな都合の面から良いにしても、昔からドラクエをやっている身としては、あとの二つはなくてもいい。
6より前の作品では、ボスがいたときに備えてMPをどう遣り繰りしながら先に進むかとか、あるいはボスがいなくてもリレミトとルーラのMPは最低でも残しておくとか、そういったことを念頭に置いてダンジョンに向かうのが常識だったように思う。しかし、【ねる】と【何処からともなくホイミ】ができるようになったせいで、MPの温存が重要なことではなくなってしまった。楽ではあるが、何か物足りない。攻略したときの喜びも半減な気がするのだ。
4のコーミズ西の洞くつに馬車と一緒に入ったとき、どれだけ心強かったことか。5のトロッコ洞くつで変な仮面に呪いをかけられ、回復要員で連れてきたメッキーのMPが瞬く間になくなって、どれだけ悲惨だったことか。3では、サマンオサ南の洞くつでゾンビマスターに異常な量のMPを吸い取られ苦労したし、2なんて、ボスなんかいなくても常に命がけだった。
このような思い出が生まれ難くなってしまったと思うと、悲しい限りだ。6ではムドー以前のダンジョンはきついかもしれないが、あとはボスがいるダンジョンくらいだろう。
だいたいの話、【ねる】も【何処からともなくホイミ】も、想像すると絵面的に無理がある。なぜ寝ているはずなのに自在にうろつきまくれるし会話もできるのだろう。あいつら全員夢遊病なのか? なんで洞くつの奥底はたまた山や崖の頂上にいる仲間を、地上で待機している者が回復できるのだろう。どうやって仲間の回復が必要だと知るのかも謎だし、理屈がさっぱり分からない。便利さを求めた結果、他の部分が疎かになったという感じがする。