■前略ごめんください
突然ですが、僕がドラクエをプレイする上で最も楽しみにしていることは、その辺の人たちの話を聞くことです。しかし、正直に言って8ではそれが苦痛でした。テキストが面白くないとかストーリーが好みじゃないとかいうのでなく、それ以前の話として。
問題だったのは、8が遂げたビジュアル面での大幅な変化です。つまり3Dっぽい3D。といっても、あんな見た目のゲームはドラクエじゃねえとか言いたいわけではありません。7のような2Dっぽい3Dなら大丈夫だったのですが、8のような感じでぐるぐる画面が回るのは僕にはダメだったのです。いわゆる3D酔いというヤツです。
8の映像はとても美しく、よりリアルに近い形でドラクエを楽しませてくれました。2Dには2Dの良さがあるのと同じように、3Dには3Dの良さがあると思っています。しかしながら、その変化は三半規管の弱い人間には如何ともし難いものでもあったのです。
3D酔いする体質は、8をプレイする上で致命的な欠点でした。僕のようなプレイヤーは、ドラクエ世界のありとあらゆる人に話しかけたいと思います。ということは、町や村、城の中をくまなく歩き回る必要が出てきます。彼らは一所に集まってはいませんし、向こうから話しかけてくることもないのですから。となれば、僕の体調がどうなったかは自明の理でありましょう。
しかし、それだけならまだ良かったのかもしれません。というのも、僕は3D酔いを自ら悪化させてしまう欠点までも持ち合わせていたからです。その名も方向音痴。概ね欠点しか持ち合わせていないこの身でありますが、ここまで8と相性の悪いものを二つも具えているとは、いったい何の報いなのでしょう。
方向音痴は僕に悲惨な結果しかもたらしませんでした。同じところをぐるぐる周り、比例して目もぐるぐる回りました。同じ民家に幾度となくお邪魔し、その度に同じおっさんが出迎えてくれました。僕はそのおっさんの笑顔を苦々しく思いながらも、吐き気に耐えるしかありませんでした。おっさんは何も悪くないからです。
オマケにこれは最初に訪れる町【トラペッタ】でぶつかった試練だったものですから、冒険を始めて早々に、もうダメかもしれんという諦めムードが漂っていたわけです。気分転換にと町の外へ出てみれば、宝箱に釣られて街道を逸れてしまい、帰り道が分からなくなってリセットボタンを余儀なくされるという失態を演じました。まさかゲームの中で迷子になるなんて、今思い出しても情けなさで死にそうです。
こんな具合で僕には辛いものがあったわけですが、結局は自分が悪いので仕方がないと納得するしかありません。プレイ時間を短くするとか、ルーラを覚えるまでは街道沿いしか歩かないとか、妥協するしかないのでしょう。
ところがです。一つどうしても納得いかない仕様が8にはありました。それは何かというと、町の中でも勝手に時間が進みやがるというアレです。あの仕様のせいで、ちょっと離れた所にいる人に話しかけようと向かっている途中で、すーっと空に月が出てきて、さっきまでそこにいた人が何処かに消えてしまうというクソ面倒なことが何度もあったのです。こっちは極力歩き回りたくないのに、もはや嫌がらせとしか思えません。
ゲームは面倒を楽しむものだとは僕も思います。しかしアレは必要のない面倒さではないでしょうか。テキストを読みたいと思うユーザーは沢山いるはずですから、町中での時間の流れはリアルさでなく快適さを重視するところだと思うのです。いや、3D酔いする方向音痴野郎の意見として言ってるのでなく。
以上のようなことから、もし10が8のような感じになるのであれば、せめて町中では時間が流れないようにしていただけないでしょうか。ご一考の程、宜しくお願い致します。
という感じのめちゃくちゃな手紙をスクエニさんに出す夢を見た。まぁ、嘘だけど。