■ファンサービスか否か

ドラクエ談義に花を咲かせていると、“どの作品が一番好きか”という話題になることがあります。この文章を読んでくださっている方も、ドラクエ仲間とそのような会話をされたことが、きっとおありでしょう。

そして、そんな話をしていると、往々にして“どの作品が一番ダメか”という話題に内容がシフトしていきます。自然の成り行きとして。一番を決めてしまうと二番から九番までも決めないことには気がすまないというのが競争社会の良いところであり、また悪いところでもあるわけです。はい、どうでもいいですね。

さて、たとえ個人的なものと言えども、順位を決めるというのは中々に難しいことであります。一位を確定することすら容易いことではありませんし、幅広く上位三作をチョイスしてみようとしても、選んだ先から別の作品が待ったをかける感じで全然決まりません。

しかしながら、一番ダメだと思う作品は何かを考えると、僕の中では9になります。理由はいくつかありますが、致命的なのは“魔王の地図”や“ロトの装備”を登場させてしまったことです。

“魔王の地図”とは、ドラクエの歴代魔王と戦うことができる地図です。“ロトの装備”とは、ロトシリーズに登場した伝説の装備です。では、これらが9に登場したストーリー上の理由は何でしょうか。おそらく、そんな物はなかったと思います。少なくとも僕には見当たりませんでした。ただ出てきただけ。

あるいは過去作品のファンに対するサービス的な意味から登場させたのかもしれませんが、果たしてあれが本当にファンサービスと言えるのか、甚だ疑問を感じます。本編でやっていいことだったのか、外伝に任せておけばいいんじゃないか、そう思うのです。

歴代の魔王たちは、歴代の主人公たちによって倒されたはずです。多くの場合、彼らには彼らの理由があって人間たちと敵対し、だからこそ勇者と戦い、そして散っていったのではないでしょうか。その物語の目撃者でもある過去作品のファンたちが、ああいう形での魔王の再登場を、どれだけ望んだのでしょう。最初は、魔王たちの話す台詞や戦闘BGMによって懐かしさを感じたかもしれませんが、すぐに違和感のほうが大きくなったように思います。

ロトの装備も同様です。開発段階の画像に登場した時から、何やらおかしなことになりそうだという不安はありましたが、残念ながら現実のものとなってしまいました。訳なく出てくるだけでも抵抗があるのに、それが何本も何着も手に入るとは。ロトの装備に身を固めた人間が四人もぞろぞろ歩いてる光景はグロテスクなだけではありませんか。

例えば8のラーミア(レティス)のように、過去作品との繋がりを持った形で登場したのならば良かったのです。しかし、9はそうではありませんでした。繋がりどころか、むしろ蔑ろにされているようにさえ感じます。そして、そんな9が本編作品であるという事実は、やはり残念に思えるのです。もちろん、他の多くのユーザーの方にとっては大したことじゃないのかもしれませんし、僕が偏狭すぎるだけだと言われれば否定はできませんが。

了

UP:11/12/15
こんなのっぱら

―DRAGON QUEST FAN SITE―

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