■勇者inロトシリーズ(四)

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前回に引き続き、ロトシリーズ(1・2・3)における勇者とロトのおはなしです。


■ドラゴンクエスト3(二)

今回は、3のアレフガルドの勇者事情を見ていこうと思います。

《勇者と呼ばれる者》

まずは次の台詞を御覧ください。

<ラダトーム城の二階にいる女性>

*「かつては ここにも おおくの
  ゆうしゃさまが おとまりでした。

<MPを回復してくれるじいさん>

*「おお はるか くにより きたれり
  ゆうしゃたちに ひかりあれ!

<ラダトームの大臣>

*「これまで あまたの ゆうしゃが
  まおうを たおさんと
  たびに でた。

これらの台詞から分かるとおり、3のアレフガルドでも、約400年後の1の世界と同じく“平和を取り戻そうと旅に出た勇敢な者たち”を、一様に勇者と呼んでいるようです。つまり、主人公の仲間の戦士や魔法使い、商人や遊び人も、勇者ということになります。1の世界でいうところの普通の勇者です。

《勇者ロトの称号》

1の世界では、普通の勇者の他に真の勇者という勇者が存在していました。それは、世界に平和を取り戻した勇者のことです。というわけで、3の主人公たちが大魔王を倒したあとに賜るラルス1世の言葉を御覧ください。

*「○○○○よ!
  よくぞ だいまおうを たおした!
  こころから れいを いうぞ!
*「このくにに あさが きたのも
  すべて そなたの はたらきの
  おかげじゃ!
*「○○○○よ!
  そなたこそ まことの ゆうしゃ!
*「そなたに このくにに つたわる
  まことの ゆうしゃの あかし
  ロトのしょうごうを あたえよう!
*「○○○○ いや ゆうしゃロトよ!
*「そなたのことは
  ロトのでんせつとして えいえんに
  かたりつがれてゆくであろう!

○○○○には、3の主人公の名前が入ります。平和を取り戻した主人公は、やはり1の世界と同じく真の勇者となり、アレフガルドに伝わるロトの称号を授かったのです。ご存知とは思いますが、彼(彼女)こそが、1や2で伝説となっているロトその人。ロトとは人の名でなく、真の勇者に与えられる称号だったわけですね(後の世ではロトが本名みたいに伝わっていますけど)。

《主人公の特殊性》

しかし、何かおかしくないでしょうか。上で書いたとおり、アレフガルドでは“平和を取り戻そうと旅に出た勇敢な者たち”は皆勇者なのです。ということは、主人公は元より、その仲間たちも平和を取り戻した勇者であるはずです。それなのに、何故主人公だけが“真の勇者”と認定され、“ロト”の称号を得たのでしょう。

何か理由があるはずですが、主人公と仲間の違いを探せば、それが分かるかもしれません。主人公にあって、仲間にないものは何か、ということです。

一つは、前回書いた、雷を操れるかどうかでしょう。しかし、それは上の世界の一部(?)の人間が知っていることだと思われ、アレフガルドの人々が、それを特別なことだと認知しているかどうかは分かりません。

他に何かないかと探した結果、ひとつだけ見つけることができました。後のロトの武具である【おうじゃのけん】・【ひかりのよろい】・【ゆうしゃのたて】を装備できる点です。これらの武具は、1や2の世界ではロト(3の主人公)が装備していたということで伝説となっていましたが、実は3の時代から何やら神秘性を帯びていた物のようです。それは、次の台詞から窺うことができないでしょうか。

<ラダトームの城にいる子供>

*「おしろの たからだった ぶきや
  ぼうぐを まおうが うばって
  かくしてしまったんだ。

<ラダトームの城にいる兵士>

*「だいまおうゾーマを たおすなど
  まるで ゆめものがたりだ。
  しかし……。
*「かつて このしろにあったという
  おうじゃのけん ひかりのよろい
  ゆうしゃのたて。
*「これらを あつめられれば
  あるいは……。

もしかしたら、これらの武具の最初の使い手だった人物(以下、謎の勇者)の伝説が3の時代のアレフガルドには既に存在していて(ロトという名前だったのかも)、それらを身に付け大魔王を倒した主人公が特別な人間だと見なされたのではないでしょうか。ロトという称号も、“謎の勇者”に由来しているのかもしれません。仮にそうだとすると、色々想像できて面白そうです。

《勇者の一族》

例えば、前々回、伝説の武具はロトの血を引いてさえいれば装備できるのではないか、といった意味のことを書きましたが、その武具と血の関係は、3のずっと以前から続いてきたものなのかもしれません。つまり“謎の勇者”は3の主人公の先祖なわけです。

“謎の勇者”が3の主人公の先祖だとすると、当然ながら雷を操れたと思われます。ということは、上の世界で雷を操る者を勇者と呼んでいるのも、この“謎の勇者”に起源があるとも考えられます。また、さきほどは分からないと書きましたが、アレフガルドでも雷を操る者は特別視されていた可能性が高くなる気がします。

アレフガルドの人たちの先祖が元々は上の世界に住んでいたことを踏まえると、“謎の勇者”も上の世界の住人で、そこで勇者と称されるような事をなし、アレフガルドへと移住。そして、アレフガルドでも同様に何らかの功績を残し、両方の世界で伝説となった、みたいなことも考えられるようなそうでないような。

その“謎の勇者”の血筋の者(オルテガとか3の主人公)が3の時代に上の世界で暮らしているということは、アレフガルドから再び上の世界へ移住した人物が先祖の中にいたのか、あるいは“謎の勇者”と血縁の人物が、ずっと上の世界に住み続けていたのか。前者だとすると、伝説の武具をアレフガルドに置き去りにしたまま上の世界へ移住した人がいたことになるでしょうか。

まぁ、ほとんど想像の域を出ませんし、どうとでも考えられる事ですが、こうやって見てみると、3の主人公は、ずっと以前から世界の平和を守りつづけてきた一族の生まれなのかもしれません。

《まとめ》

では、3のアレフガルドで、人々が何で勇者と呼ばれるのかをまとめてみます。ただし、想像込みなので、鵜呑みにはしないでください。

<大原則>

世界に平和を取りもどそうと旅をしている者が勇者である。これが、アレフガルドに確固として存在する大原則です。これに当てはまる者は誰もが勇者であり、かつてのアレフガルドには、多くの勇者がいました。主人公の仲間たちも、これに当てはまります。

<主人公>

主人公は、大魔王を倒し平和をもたらした際、一人だけ真の勇者の証であるロトの称号を得ました。つまり、一人だけ何か特別な存在であると見なされたということです。それは、雷を操ったり、王者の剣・光の鎧・勇者の盾を装備できたりといったことが理由だと思われますが、本当のところは分かりません。

<オルテガ>

じつは、オルテガもアレフガルドで特別視されていた節があります。ラダトームの大臣が、“あのオルテガでさえも”という表現を使っているからです。それは、主人公と同じく雷を操るがゆえなのかもしれませんが、やはり分かりません。

<ロト>

真の勇者の証、ロトの称号とは何なのか。何かあるんでしょうが、これも分かりません。

■おわりに

四回に分けてダラダラとお送りしましたが、唯一ハッキリしたのは、実はロト編も分からないことだらけだな、ということです。想像はそこそこ膨らむのですが、まぁハッキリしない。ただ、そこがドラクエのいいところだと思ってるので、まったく問題ないのですが。

了

UP:10/07/18
こんなのっぱら

―DRAGON QUEST FAN SITE―

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