■自慢の逸品(一)

ドラクエの世界では、伝説の武具や貴重な装備品が洞窟や塔などに置いてあることも珍しくない。広大で複雑なダンジョンを不安と共にさまよう中、そういう物を発見したときは実に嬉しいものだ。しかし、そのアイテムが何故その場所にあるのかという理由については説明されないことが多いように思う。

100年前に取り出されたはずがまた同じ場所に置かれているロトの剣や、大樹の天辺に意味不明に引っかかっているのに何故かそのことを書き記した地図が存在する天空の剣を筆頭に、魔王の居城やそのすぐ傍のダンジョンに置いてある強力な装備たちの存在には大多数のプレイヤーが疑問を感じるところではないか。

では、貴重な装備品を武器・防具・道具屋のオヤジが隠し持っている場合はどうだろう。ダンジョンにある場合と同じくハッキリした理由は分からないかもしれないけど、僕なんかはとても納得してしまうしカッコいい思う。

オヤジたちはアイテムを専門に取り扱うプロであり、彼らの間にはそれらに関する情報が飛び交うネットワークが存在し、トレジャーハンターたちは自らが手に入れたお宝を売り込みにくる。そういったことが何となく想像できるからだ。それらのアイテムからは洞窟や塔に眠っている物とは違ったドラマが感じられる。

というわけで、このページではそんなオヤジたちと彼らが持つ自慢の逸品について紹介しようと思う。

※今回は、以前に知人のサイトで載っけてもらってた文章を改編したものです。

■プロビナ/武器屋

まずはドラクエ7に登場するプロビナの武器屋のオヤジを挙げよう。自身の村が魔物に襲われる危機に陥ったとき、これで村を救ってくれと家宝である【プラチナソード】を主人公たちに託してくれる最高にカッコいいオヤジだ。イベント発生中に話しかけないと貰えないのだけど、そんな時にのんびりと武器屋に立ち寄った主人公一行の腕を見抜くとは、その眼力たるや大したもの。ただ、人によっては、

*「あれ? 今 装備してる
  武器のほうが強いんだけど。

といったことが起こり得るのが残念と言えば残念か。しかしそんなことはどうでもよくて、村の一大事に見ず知らずの少年少女(および老人)に迷いもなく家宝の剣を譲るという心意気が何より素晴らしいと思うのだ。一大事だから譲ったんだろとか、子どもや年寄りに戦わせんじゃねえとか、そういう無粋なことは言ってはいけない。

■デルコンダル/武器と防具の店

次はドラクエ2のデルコンダルに住んでいる武器と防具の店のオヤジだ。彼が隠し持っているのは【ガイアのよろい】(以下、ガイアの鎧)。大地の守護神の名を冠し、世界で唯一このオヤジしか持っていないという逸品である。他のタイトルに存在する大層な名前や由来の割には店で売られていたりカジノの景品になっていたりするような胡散臭い物とは格が違うのだ格が。

守備力は鎧の中ではかのロトの鎧の次に優れており、まさしく最高峰の鎧の一つと言える。思い返せば、恐ろしい以外の何物でもないロンダルキアへの洞窟を攻略する途中までお世話になったものだ。

ガイアの鎧に会うには、デルコンダルの城を囲った通路をぐるりと回り、その先にある金の鍵の扉を開ければもう目の前。金の鍵を手に入れたなら、すぐにでも取りに行きたい品だろう。一つ注意したいのは、金の鍵を取りに行く時やデルコンダルに行く時に遭遇するバピラス。油断していなくても普通にやられる。

■レイクナバ/武器屋

三人目はドラクエ4に登場するレイクナバの武器屋のオヤジ。このオヤジは修行時代のトルネコを雇っていた、言わば彼の師匠。この親方なくしてトルネコの成功はなかったに違いない。そんなオヤジの店について少し説明しよう。

彼の店は、トルネコが店番をしていると分かるとおり、次から次へと客足の絶えないトレンドの武器屋だ。しかし、常備している品は棍棒と銅の剣といばらのムチ(リメイク版では聖なるナイフ)の三種類だけ。何とも貧弱な品揃えである。

にも拘らずあれほどの人気を博しているのは、魔物のはびこる不安な世の中という以外に何かしら他の店にはない魅力があるのだと思われる。トルネコがいるとか、たまにいい武器が入荷しているとか、トルネコがいるとか。もしかしたら、ブーメラン(リメイク版ではクロスボウ)や鎖鎌、破邪の剣などを常時入荷すれば大もうけ間違いないのに、そんな素振りを露ほども見せない無欲で不器用なオヤジの人柄が客を引き寄せるのかもしれない。

ではそろそろ彼が隠し持つ逸品に話を移そう。それはズバリ【こおりのやいば】(以下、氷の刃)だ。その名前を初めて聞いたのは小学生のときだったが、他の剣とは違った響きに、どことなく不思議な感じがしたのを覚えている。

氷の刃は道具として使えばヒャダルコの効果があるという特殊性もさることながら、武器の本質である攻撃力も中々に優れている。僕は天空の剣が手に入るまでこれを装備していたので、その分とても愛着があったりする。しかし、5以降の作品では「珍しくはあるが実用性はあまりない武器」というレッテルが貼られた感があり、ちょっと哀しい。

氷の刃を手に入れるには最後の鍵が必要となる。ガーデンブルグで天空の盾を手に入れた後、すぐにレイクナバへと向かう冒険者も多いかもしれない。

■一時中断

ここまで書いておいてなんだが、プロビナのオヤジ以外の二人は自慢の逸品を盗まれただけの哀れな民間人じゃないか。そんなことにも気づかないで偉そうに紹介なんかしてしまってかなり嫌な気分になってしまった。でも終わったことは仕方がない。開き直る。

そうだ。悪いことをしたついでに、デルコンダルとレイクナバのオヤジの不幸さが霞んでしまうほどに不幸なオヤジの話で締めくくってしまおう。しかし、彼はあまりに可哀相なので、人権保護のため登場するタイトルおよび住んでいる場所の明示は控えさせてもらう。僕にもそれくらいの良心はまだ残っているのだ。耐えられそうにない方は、どうかバックしていただきたい。

自慢の逸品(二)に続く

UP:11/07/16
こんなのっぱら

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