■モンバーバラの姉妹の足跡をたどれ!(二)
モンバーバラの姉妹の足跡をたどれ!(一)に戻る引き続き、モンバーバラの姉妹の足跡をたどろうと思います。
■状況整理
このページでは第四章の終わりから勇者と出会うまでを中心に見てみます。次の文章を御覧下さい。
こうして マーニャとミネアのふたりは
思いをとげられぬまま
ふるさとの国を 出たのでした。
自分たちを 助けてくれる
か細く 小さな光とは?
その光を 探すため
再び ふたりの旅が始まったのです。
これは第四章のエピローグです。父エドガンのカタキであるバルザックを討つという彼女たちの目的は叶いませんでした。それどころか、二人に力を貸してくれたエドガンの弟子のオーリンまでも殺されてしまったのです(のちに何故か復活してますが)。失意の二人は、国を出てエンドールに向かうしかなかった、というのが第四章終わりの話です。
■旅の目的
先の文章によると、マーニャとミネアの新たな旅は“か細く小さな光”を探すためのものだと分かります。それに関連する台詞として、第四章で【岬のお告げ所】のシスターが語る言葉があります。その一部を御覧下さい。
*「占い師ミネアよ。
あなたには すでに見えるでしょう。
*「あなたがたが カタキとねらう男は
巨大な 暗黒のチカラによって
まもられています。
*「しかし 案ずることはありません。
私には 見えるのです。
*「あなたがたも また
光りかがやく チカラによって
まもられているのが……。
*「今は か細く小さな光ですが
いくつもいくつも みちぎかれ
やがて 大きなチカラとなるでしょう。
“カタキとねらう男”とはバルザックのこと。“巨大な暗黒のチカラ”とは魔族(キングレオ、デスピサロなど)のこと。そして、か細く小さな光”とは、これから二人が出会う仲間(導かれし者たち)のことです。このお告げを受けたミネアは次のように言います。
ミネア「か細く小さな光が……
いくつもいくつも みちびかれ……
ミネア「そう とっくに気づいてた。
今の わたしたちじゃ
バルザックには……
ミネア「……ううん。
なんでもないの。
気にしないで 姉さん。
つまりミネアは、自分たちだけではバルザックに勝てないと知りながら、それでも挑み敗れたことになります。そして、前述のとおり“か細く小さな光”を探す旅に出たのです。
■勇者との出会い
次の文章は、ミネアが勇者と出会ったときの台詞の一部です。
ミネア「あなたのまわりには
7つの光が見えます。
ミネア「まだ 小さな光ですが
やがて導かれ 大きな光となり……。
えっ!?
ミネア「も もしや
あなたは 勇者さま!
ミネア「あなたを探していました。
邪悪なる者を 倒せるチカラを
秘めたあなたを。
この台詞からミネアは勇者を探していたことが分かります。すなわち、自分たちに力を貸してくれる“か細く小さな光”が、巷で噂の勇者だと知っていたということです。お告げからはそこまで細かく分からないので、自身の占いによって知ったということでしょうか。
■エンドールに滞在していた理由
以上のようにマーニャとミネアは勇者を探していました。しかし、ハバリアからエンドールに到着して以来、そこから一歩も動いていません。理由は、大別して二つあります。
《理由・その一》
一つ目の理由は、モンバーバラの時と同じです。
まず情報収集ですが、エンドールは“世界中から旅人が集まるにぎやかな町(FC版公式ガイドブック上巻より)”であり、全ての導かれし者たちが仲間になる以前に訪れることとなる唯一の町でもありますから、これほどうってつけの場所はありません。彼女たちが勇者に関する情報を集めていたことは、ブランカに住む踊り子の台詞からも分かります。
*「わたしたちの踊り ステキでしょ!
エンドールで大人気の踊り子の
踊りかたを まねてみたのよ。
*「その踊り子には 妹がいてね
ふたりで 勇者を探して
旅をしているって言ってたわ。
次に路銀集めですが、当然ミネアは占いで稼いでいましたし、“エンドールで大人気の踊り子”という部分からは、マーニャも踊りで稼いでいたことが窺えます。幸いにも二人は客相手の商売なので、お金を得ると同時に情報も聞き出しやすかったでしょう。
《理由・その二》
二つ目の理由は、マーニャです。一日中開いている酒場だけでも最悪なのに、エンドールにはカジノまであったからです。それらはマーニャを虜にしました。
酒場とカジノは二人の稼ぎを瞬く間に吸い上げました。ミネアの占いは一回10G。一日のお客さんが何人なのか分かりませんが、たとえ百人きたとしても稼ぎは1000G。一方カジノのコインは一枚20G。1000Gすべてを使ったとしても五十枚。スロットで五枚賭けしていれば、たった十回転で終了(※)。マーニャも稼いでいたとは言え、大半は酒場とカジノに入り浸っていたでしょうから、お金が貯まる道理がありません。
※マーニャ自身の発言によれば、少なくともコイン1000枚(20000G分)はスッた模様。そんな姉に加えて城下町では勇者が死んだという噂まで流れており、ミネアにとっては二重の意味でたまったものではなかったはずです。彼女としてはエンドールを離れたかったようですが、マーニャがどうしてもカジノから離れたがらなかったため仕方なく留まり続けることに。結果的には、それが一番の近道だったわけですが。
■おわりに
勇者と出会ったとき、ミネアは次のようなことも言っています(リメイク版のみ)。
ミネア「私と 姉のマーニャは
あなたとともに 暗黒のチカラに
対抗すべく 運命付けられた者。
ミネア「この世界には 私たち姉妹と
同じ運命を背負ったものがいます。
ミネア「まだ見ぬ彼らと チカラを合わせ
地獄の帝王の復活を 阻止するのです。
勇者さま 私たちを導いてください。
これによるとミネアはかなり細かいところまで知っています。当然マーニャも知っていたでしょう。彼女たちの目的は父とオーリンのカタキ討ちですが、この時点でその先にある運命をも見据えていたようです。力強い仲間を得た姉妹は、自分たちの本懐を遂げるべく、また進化の秘法を消し去るという父の望みを果たすべく、旅を続けていきます。