■結婚(ビアンカ)

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ビアンカと主人公は、小さい頃にかくれんぼやすごろくをして一緒に遊んだ幼馴染だ。彼女に関して特筆すべきは、十年以上もの間ずっと主人公のことを想い続けてきた女性という点だと思う。では、二人の少年時代を見てみよう。


■少年時代

ビアンカが八歳だった、ある日のこと。彼女は母(ダンカンのおかみさん)に連れられサンタローズの村を訪れていた。ダンカンの薬を買うことが目的だったが、薬師のオヤジが村の洞窟から帰ってこずに待ちぼうけをくらっていたのだ。そして、その日ちょうど旅から帰ってきた主人公と再会することになる。このときの主人公は六歳。ビアンカのことを覚えていたかどうかは分からない。

《オヤジの救出》

薬師のオヤジが帰ってこないのは、落石に足を取られ、動くことができないからだった。それを知ってか知らずか、一人で洞窟を探検していた主人公は、オヤジを発見して助けることに。それを伝え聞いたビアンカは、すごい子だなと感心したらしい。

薬を手に入れることができたダンカンのおかみさんとビアンカは、アルカパの町へ帰る前にパパスの家へ挨拶に立寄る。しかし、女の二人旅は危ないとパパスが護衛を買って出たため、主人公もそれに同行することに。

《レヌール城の冒険》

アルカパに着いたビアンカと主人公。二人で町の中を散歩しながら、色々と話をする。と、ガキどもにいじめられている猫を発見。ビアンカが止めさせようとすると、レヌール城のおばけを退治できたら猫をやるぜと持ちかけられる。タイミングよくパパスが風邪を引いたせいで主人公はしばらくアルカパに留まることになり、二人で夜のレヌール城へ向かうこととなる。

一見頼もしいビアンカだったが、それは自分のほうが二歳年上ということで強がっていただけ。じつはお化けも暗いところも苦手で、内心は怖くて泣きそうだったようだ。しかし、そんな自分を主人公は勇敢に守ってくれた。その姿は、子供ながらに頼もしく映ったらしい。おそらくビアンカが主人公に恋心を抱くようになったのは、このときからだろう。別れ際、主人公にリボンを渡し、いつかまた一緒に冒険しようと約束を交わす。

《サンタローズの悲劇》

ある日、サンタローズが焼き払われたという話を耳にしたビアンカは、主人公のことが心配で一人で村へ行ってみたらしい。しかし、ボロボロの家の中にその姿はなく、洞窟の中まで探したようだ。ビアンカが怖がりだったことを考えると、どれだけ主人公の身を案じていたかが分かるだろう。だが、結局見つけることはできず、それから十年以上の月日が流れることとなる。その間ビアンカはずっと主人公を想い続けた。何処かで生きていると信じて。

■主人公との再会

あるとき、ビアンカの前に突如として主人公が現れる。ずっと想い続けていた人との思いがけぬ再会に、胸が高鳴ったことだろう。しかし喜びも束の間、そのタイミングはもはや運命のいたずらとしか言えないほど最悪のものだった。主人公から、ある人と結婚するために水のリングを探していると告げられたのだ。

■ビアンカの心中

主人公とビアンカは、その夜遅くまで語らった。昔レヌール城で冒険したこと、猫のこと、親の死、その後の生活、そして主人公の結婚のこと。主人公と会話しながら、ビアンカは何を思っていたのか。

《申し出》

翌朝、食事をとる主人公にビアンカは次のように話をする。

ビアンカ「ねえ……。
  食べながらで いいから
  聞いてくれる?
ビアンカ「きのう あれから
  考えたんだけどね。
ビアンカ「水のリングを探すの
  私も 手伝ってあげるわ!
ビアンカ「だって ○○○○には
  幸せになって 欲しいもんね。
  いいでしょ?

間もなく結婚を控えている主人公。そんな、ちょっと配慮しなければならない(気がする)タイミングにも拘らず、ビアンカは何故こんなことを言い出したのだろう。

おそらく、そんなタイミングだからこそ彼女は主人公に同行したがったのだと思う。何故なら、ビアンカにとってあの日交わした約束は、それほど大切なものだったからだ。そのことは、後の彼女の台詞に見ることができる。主人公が結婚してしまったら、もう一緒に冒険することは叶わないだろう。チャンスは今を置いて他にない。そう思って、ビアンカは半ば強制的に主人公についていったのではないだろうか。

また、主人公が辿ってきた辛い人生を、最も近くに感じることができたのは、同じく苦労してきたビアンカだったと思う。主人公には幸せになってもらいたいという、それも本心だったはずだ。

《結婚観》

ビアンカは、自分が主人公と結婚する(可能性がある)とは考えていなかっただろう。主人公はフローラと間もなく結婚するのだし、フローラと結婚しなければ主人公は母親を助け出せないし、主人公が自分のことをどう思っているかも分からないのだから。

しかし、ビアンカの台詞からは、彼女の結婚観が見て取れる。それは、本当に愛し合っている者同士が結婚することが一番いいというものだ。ビアンカが二人の結婚に対してイマイチ納得できないように見える理由の一つは、

“母親を助けるために天空の盾が必要で、結婚すれば天空の盾が貰える”

的なことを主人公が言ってしまった為だと思われる。ビアンカはそのことを知っているから、たぶん間違いない。また、当然そこには嫉妬もあっただろう。

《水のリング入手後》

水のリング入手後もビアンカが主人公についてくるのは、主人公とフローラの気持ちを確かめることで自分の中でケリをつけたかったからではないだろうか。二人が本当に愛し合って結婚するのであれば、きっぱり諦められるかもしれないし、諦めるべきだと考えていたのだと思う。

だからこそ、その心情を知らない人が見たら嫌な感じに思われるくらいビアンカは二人の気持ちを確かめようとする。しかしながら、そんな彼女の想いとは裏腹に、その結果は今一つ煮え切らないものだったかもしれない。特にフローラの気持ちがビアンカにとって一番謎だったようにも思える。

《自分の想い》

そんなビアンカだが、長年募らせてきた自分の想いを主人公に打ち明けることはできなかった。すべて吐きだしてしまいたいという気持ちがあっただろうことは彼女の台詞に表れているが、結局は何も言わない。それは主人公と自分が結婚する可能性が出てきた後でも同じだ。主人公が置かれている微妙な立場を考えれば仕方がないとも思うが、結婚できなかった場合、その想いはそのまま胸の奥にしまわれ続けることとなる。

■ビアンカと結婚

では、主人公がビアンカと結婚する場合、そこにはどんな心情が見て取れるだろうか。

《フローラに対して》

一旦はフローラとの結婚を決意した主人公。それはビアンカと再会した後も変わらなかっただろうと思う。しかしフローラが、

フローラ「もしや ビアンカさんは
  ○○○○さんを
  お好きなのでは……?
フローラ「それに ○○○○さんも
  ビアンカさんのことを……。
フローラ「そのことに 気づかず
  私と結婚して ○○○○さんが
  後悔することになっては……。

と言い出して、何故かルドマンも、

ルドマン「今夜一晩 ○○○○に
  よく考えてもらって フローラか
  ビアンカさんか 選んでもらうのだ。
ルドマン「うむ。それがいい!

と、急に物分りがよくなったようなことを言い出すもんだから、主人公のせっかくの決意が鈍ったのだ。

結局フローラとの結婚を止めてしまった理由には、他に好きな人がいる状態での結婚は相手に失礼で不誠実だと思ったのかもしれないし、やはり自身の都合だけで結婚することはいけないと思ったのかもしれないし、主人公自身がフローラのことを(好きではあるが)愛するまではいっていなかったということも考えられるだろうし、アンディの存在もあるだろうし、主人公が想像するフローラの心中なども影響したことだろう。

《ビアンカに対して》

ビアンカに対する主人公の心。それは純粋に彼女を愛する気持ちに他ならない。それも自身の両親を凌駕するほどのものだ。なぜなら、ビアンカと結婚したら天空の盾は入手できないのだから。結果的にルドマンが盾をくれることになるが、結婚前にそんなことが判る由もないだろう。つまり、盾を諦めてしまうほど、主人公はビアンカを愛していたことになる。

また、プレイヤーと違ってビアンカの真意もハッキリとは知らず、結婚しなかった場合のビアンカやフローラのその後の人生も知らない上での決断であったことを踏まえると、主人公の気持ちがどれほど大きなものであったかが窺える。あるいは、主人公もビアンカのことをずっと思い続けていたのかもしれない。

ただ、ビアンカと結婚することで主人公が母親の救出を完全に諦めたかどうかは分からないし、諦めるつもりもなかったと思う。盾がなくても助け出すと、決意を新たにしたのではないだろうか。

いずれにせよ、主人公がビアンカを選んだ理由は、彼女を愛しているというその気持ちに尽きるだろう。

ビアンカ「○○○○に 選んでもらえたと
  思ったら もう 結婚式だなんて…
  なんだか 展開が 早すぎよね。
ビアンカ「でも 私 うれしいよ。
  だって ○○○○のこと
  ずっと 大好きだったから。

結婚式で、ビアンカはようやく自分の想いを告白する。完全な相思相愛カップルの誕生だ。

結婚(あとがき)に続く

UP:10/11/07
こんなのっぱら

―DRAGON QUEST FAN SITE―

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